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第98話◇side*陽斗 ※

 最後までする、とか。  どういう意味か、分かってはいたつもりだけど。  ……でも、女の子じゃないし。  ――――……出来るのかな……。  できるかどうかは、もう三上に任せよう。  と。  出来るならいいし、出来ないなら、仕方ない。  本気でそんな風に思ってた。 「……っ……ふっ……」  気を抜いたら、声が止まらなくなりそうだった。 「……っ……あ……」  どれだけ声、我慢してるか。   「陽斗さん…… へーき……?」  三上の腕に、抱き締められて。組み敷かれて、自分のど真ん中貫かれて。その激しい熱に比べて、声はものすごく、優しい。 「……今んとこ……へ、き」  答えると、三上は、ふ、と笑んだ。  ものすごい時間かけて、もう嫌だと思う位。もう早くって思う位慣らされたせいで……おかげで? びっくりする位たやすく、中に受け入れる事が出来た。  それに、多分、自分の快楽なんか二の次で。オレを、抱いてくれてる。 「――――……陽斗さん……」  三上の汗が、ぽた、と落ちて来て。  ぞくん、と体の奥が震える。  すっごい、色っぽくなってるし、こいつ――――……。  何なの、何で、してるお前が、そんな、エロいの……。  我慢、してるから?   覆いかぶさられて、唇が深く重なってくる。  中を少しずつ突かれて、こんな未知の刺激がおかしくなりそうな位気持ちよくて。絡む舌を、思い切り吸ってしまう。 「痛た…… なに、陽斗さん……?」  一瞬顔をしかめた三上は、すぐ、クスっと笑って。 「もっとキスしたい……?」  なんて言って、舌を奥まで挿し入れてくる。  ぎゅ、と胸が痛い。  ゾクゾクして、もう、無理。 「……んン、う……っ……ふぁ――――……」 「可愛い――――……陽斗さん」  何度も聞いた。  この最中だけで。囁くように言われる、その言葉。数えきれないくらい聞いた気がする。    深くキスしながら、中の感覚が強い所を、ゆっくり突いてくる。  初めてなのに、信じられない位、気持ち良くて。 「あ……ッう……ん……」  勝手に、身体がびくん、と震えた。  咄嗟に逃げを打ってしまいそうになるけれど、三上がしっかりと抱き留めていて、逃れる事が出来ない。 「……ん ……ッ……く……」  苦しい事は、苦しい。  触りあい位なら、男同士でも気持ちよくなれるだろうけど、その先へ進むなら、される方は苦しい方が大きいかも、と思っていた。  それでも良いと覚悟を決めて、する事を選んだんだけど。  なのに。 「……ん……ふ……」  ――――……感じた事の、ない……  感覚。  三上はそんなに激しくは、動かないでいてくれている。だからっていうのもあると思うけど、痛みはない。  その、かわりに――――……。  身体が、熱い。  ――――……何か、頭の芯が、ぼぅっと、する。 「……あお い……」 「……うん?」 「……っ……なんか…… くるしぃ……」 「え。……抜きましょうか……?」   焦ったように言う三上に、オレは、ちがう、と抱き付いた。  そうじゃない。  ――――……嫌だとか抜いてとか、そうじゃなくて、なんか。 「……もう平気、だから……最後まで……」  最後まで、して。  その意味の言葉を告げようと思ったのだけれど、そこで急激に恥ずかしくなって、言葉を切った。  最後までしてほしい。最後までしちゃって。最後まで……。  言い方変えても、どの言葉も、口に出せない。  だって、それって、動けって――――……言ってるって事だよな。  …… い、言えない。どうしよ。  唇噛みしめて。  ぎゅ、と三上に抱き付いてしまう。

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