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第97話◇尊いって。4※

「気持ち、イイ?」 「――――……ぅん」  ……ほんと、こういう時、素直。  強がって、気持ちよくないとか、言いそうな気もするのに。  本当に、そういうのも全部可愛い。  枕にしがみついてる体に、ものすごい力、入ってて。  気持ちいいとこ触れると、腰が、背中が、揺れる。  後ろ、刺激してるだけで、前も再び反応してるのも、分かってる。  もぞ、と動いて、布団から離れようと、してるのかな。  男の勃ってるものに、触れたくて触れる日が、来ると思わなかった。  ――――……する、と前に手を回して、握りこむと、びくつく体。 「――――……やっ……っ……!!」  さっき良さそうだった所を擦りあげるだけで、一気に固くなる。 「……あ……っ……」  枕に顔を押し付けて、ぷるぷる首を振ってる。 「……気持ち良すぎ?」  そう囁くと、陽斗さんは枕に顔押し付けたまま。少しだけ、振り返った。 「――――……っまだ……」 「ん……?」 「……まだ、入れない……?」 「――――……」  ……直だな。  回りくどいことばっか、言ってきてたくせに、今度は、直でそれか。  ――――……つか、もう勃ちすぎて、痛いし。 「――――……んっ……」  中、刺激し続けていた指を、ず、と抜くと、また震える。 「陽斗さん、後ろから、するね……?」 「……ん」  頷いて、はぁ、と息をついてる。  ゴムとローションで準備してから、後ろに先端をあてる。 「――――……ゆっくりするから……力抜いてて」 「……ぅん」  吸い付いてくる中を、少しだけ進む。  やば、これ――――……。 「……あ……っ――――……ん、ぅ……っ」    前に手を回して、刺激して、少し感覚をそっちに向けさせて。  緩んだ中を、奥に入れていく。 「陽斗さん……」 「……ふ……ン……っ……」  密着するみたいに抱き締めて、中を侵していく。最初だけ拒むように入っていた余計な力も徐々に抜けていく。 くぐもった、甘い喘ぎを漏らし始める。  ――――……そこからはもう、必死だった。  極力辛い思いをさせないように。  最大限、気持ち良いと、思わせてやりたくて。  自分の欲望のままには、動かないように。 「……や……ぁ……ッ……」  奥まで入れて、軽く突き上げると、びく、と背が反って。  甘えた声が上がる。  よかった、痛くなさそう。  ちゃんと、気持ちよさそう――――……。 「……んんっ……あ」  繋がったまま抱き寄せて、小刻みな動きで、中を慣らしながら、うなじや方へのキスを繰り返す。 「……はあ……あ、あ……っンん……」  緩く突くのが、気持ちいい、みたいで。  少し顎が反ると、先輩の後頭部が、髪が、オレの顔に触れる。 「……っ……あ……」  何度目かにのけぞった時。そのまま、すり、とすり寄られて。  潤みまくった瞳に、見上げられた。 「もう、休む……?」  もう辛いかなと思って、ちゅと頬にキスしながら、そう聞いたら。  先輩は、ふる、と首を振って、それからまた、オレを見つめた。 「……きもち……よすぎて……」 「――――……っ」 「――――……どうしよ……」  うっ、わ――――…… マジ、勘弁して。  一気に下半身に、ヤバい熱が集まる。 「……っ……はあ……」  堪えきれないみたいに、先輩が息を付いて、ぶる、と、震える。 「……あお、い――――……」 「――――……なに……?」 「前が、良い……顔、みたい」  ……もう……ほんとに……。  ――――……可愛すぎて、困るな……。  ゆっくり抜いて、また先輩の背を枕に沈めさせて、脚を開かせる。  組み敷くと、先輩は、じっと、オレを見上げて、ふ、と瞳を細めた。  先輩のキレイな喉が、ごく、と上下する。  興奮――――……してんのかな……この人も。  思ったら、たまらなくなる。 「――――……っ」  後ろに合わせてゆっくり、でも今度は一息で、中まで押し込む。 「……っン……あっ……――――……っは……」  少しだけ上がった顎を捕らえて、深く、舌を絡め取った。 「ンん……ん、ふ……っ――――……」  熱い吐息が唇の間で零れる度に。  甘い声が、漏れてくるたびに。  激情を抑えるのだけで、精一杯で。  とにかくもう可愛くて、愛おしくて、愛撫を与えているのはこっちなのに。  自分の方がどうにかなりそうとか。初めて思った。

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