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第96話◇尊いって。3※

 泣いちゃってたせいで、キスしてると、ひく、と喉が震える。  ふ、と息を付いてるのも。……可愛くてしょうがない。 「……ん、ん…っ」  めちゃくちゃ丁寧にゆっくりと、内を愛撫するみたいに。  キスしていると。先輩は、ふる、と小さく、震えた。 「……や、ば……」 「……ん?」  唇の間で言われた言葉に、少し唇を離すと。 「……お前の、キス――――……」  そっと頬に先輩の手が触れて。その指が、オレの唇に触れた。 「……なんでこんな、気持ちいいんだろ……?」 「――――……っ」  とろとろした力の入ってない瞳で、ぼー、と見つめられて。  挙句の果てに言われるのが、そんな言葉って……。 「ほんとに……人をのせるの、天才ですね」 「ん……っ――――……」  少し激しくキスしてしまう。  泣いてたから。せっかくゆっくりキスしてあげてたのになぁ……。    もう。……ほんとに。  ――――……でももう、泣いてないかな。  目の前で伏せられた瞼。  睫毛、長い……可愛い……。 「……ん……」  キスを外して、先輩の背をもう一度枕にちゃんと沈めた。  ローションを垂らして、少し手で温める。  ちょっとドキドキする。  ――――……痛く、ないかな。 「陽斗さん……キス、集中してて」 「……ぅん」  ちゅ、と口づけて。  深く舌を絡めながら。後ろに触れた。ローションのおかげなのか、思ってたより容易く、中に入る。 「……っふ……」  気持ち悪いのか、先輩が声を出して、もぞ、と動く。 「…………ん、ン……ぁ……」  ゆっくりゆっくり慣らす。  中で色々動かしている内に、びく、と反応する箇所を見つける。 「……ここ、気持ちいい?」 「あっ……や……」  唇が触れたまま、ぶる、と震えて、驚いたような声を漏らす。 「大丈夫、ゆっくりやるから。抱き付いてて」 「――――……っうん」  ぎゅ、としがみつかれて。  ――――……胸が、締め付けられるみたいに。苦しくなる。  可愛いを通り越して。これ、何。マジで。    ――――……どうしようかな、ほんと……。  暴走しそうなのを、ひたすら止める。  ローションを何度もたしながら、丁寧にゆっくりと慣らし続ける。  素直に反応する箇所がだんだん分かってくる。  浅いとこで、柔らかく触れてるのも好きそう。  奥の方も、結構、感じるのかも――――……。  一際反応がいい所は、続けて触れると強張るので、たまに触れながら。 「……ん、ふ……」  ずっと、しがみついて先輩の腕が少し震え出した。 「陽斗さん、疲れた……? いいよ、少し、倒れてて」  そう言ったら、先輩は切なげに瞳を細めた。 「も、いい、よ……?」  そんな風に誘われると――――……ただでさえ、もう入れたくてヤバいところに、直撃で追撃されるのだけれど。  まだ指2本しか入れてないし。 「も少し慣らす。――――……俯せになって、枕に沈んでて」 「……っ……」  一度指を抜いて体を反転させて、脚を少し開かせる。 「……っずっと、弄られてるのも……辛いんだけど……」  また、煽るし……。  はあ、とため息をつきながら、後ろから重なって先輩の顔を覗き込む。 「ね、ひどくされたいの?」 「……ち、がうけど……」  オレを振り返った涙目が潤んで細められる。  ――――……可愛くて、その瞼にキスしてしまう。 「ですよね。……だったら、後少し、頑張ってて。もっと、めちゃくちゃ熱くなって、柔らかくなったら――――……するから」 「……っ……」 「絶対その方が、気持ちいいよ」  ローションを垂らして、つ、と指を含ませる。 「……っ……」  もうどれくらいやってるかな。 最初とは全然違う。  熱くて、湿ってて、指を締めてくる。  でもまだ多分、受け入れるとかはまだきついと思うし――――……。 「……ん、……ア……っ」  後ろからだと少し違うとこに触れるみたいで、違う声があがる。  枕に突っ伏してる先輩の背が、ヒクつくのがなんかものすごく扇情的。    その背に舌を這わせて、吸い付きながら中を刺激すると、それに合わせて声が上がって、小さく震える。  どんどん敏感になってて、気持ちよく、なってるよな――――……。  そう思うともう愛しくてたまんないし。

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