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第100話◇side*陽斗 3
信じられないことを、かなり、長いこと。して。
結局、意識を失うように眠って……そして、今に、至る。
まだ暗いから、夜なんだろうと思う。
目を開けた時に、見えたのは――――……
自分の部屋とは違う、天井で。
一瞬だけちょっと考えて……それから、事態を把握して。
何となく、両手で、目を覆う。
……全部。ちゃんと、最後まで、やってしまった。
ていうかそもそも、こういう事がしたくなくて困るとか思って悩んでた訳で。
男となんて、キスだけだって考えた事も無かったし。
もし男とで考えたとしても、三上が相手になるなんて、それまでの関係からは本当にかけらも考える筈がなく。
もうなんか、全部してしまった今ですら、不思議なような……。
でも、三上がすごく、いい奴で。
……なんか相談なんかしてしまったら、キスする事になって。
そのキスが気持ち良すぎて。
触れられて、今までになく気持ちよかったからって。ものすごい意識して。
……一緒に居る内に、最後までいいよ、なんて話になって。
三上とそうなった時のイメージを想像しても、嫌じゃなくて。
三上ができればいいとか……わけわかんない事、言って。
でも実際、出来るんだろうか、なんて。
半信半疑の、スタートだったんだけど。
全部出来てしまった。
昨日、優しかった三上が頭にあるから、もし最後までできても、優しいんだろうなとは、思えてはいたんだけど。
想像していた以上に、ものすごく優しかった。
入れたら、めちゃくちゃ動くだろうし。
男同士だから、なんか――――……もっと、なんだろ。
どうしても自分が男だからか、あそこまで優しくされるとは想像できなくて。
…………三上が、優しすぎて。
最後の方だけ、激しかったけど。
……それは、オレが平気だと、判断してから。
思い出しても恥ずかしくなる位、優しかった。
天井を見上げていた目を、一度閉じた。
なんか。すごく。
……良すぎて、びっくり。
ふと、隣に目を移したら。
――――……あれ。三上が、居ない。
隣の布団かと思ってたら、居なかった。
起き上がって、何となく羽織らせてくれてたらしい浴衣を、ちゃんと着直して、立ち上がった。
「三上……?」
三上はペットボトルを持って、窓際に立っていた。
「あ。陽斗さん――――……起きちゃいました?」
「うん。……三上、寝た?」
「うん。少し寝ましたよ」
側に歩いていくと、腕に触れられた。
「……体、大丈夫ですか?」
優しい声に、かあっと熱くなる。
「……大丈夫。……三上、ありがと」
「ん? 何がですか?」
「……優しかったから、全然、大丈夫」
「――――……」
返事が無いから見上げると。少し照れたような顔をして。
オレに触れた手を離して口元を隠して、オレから視線を外した。
え、と見てたら。今度は目と額を隠して、少し上を向いてしまった。
「――――……なんかめっちゃ照れます……ダメだ、これ……」
「――――……っ……」
……う、わー……。
なんか。
……すごい、可愛いかも、しれない……。
こっちのが照れる……。
オレも三上から視線外して、窓から下の景色にただひたすら目を向ける。
……こんな夜中に窓際立って。完全にそっぽむいて。
…………何してんだろ、オレ達。
思うけど、恥ずかしくて、三上を見れない。
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