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第101話◇照れる

【side*蒼生】  先輩が、ふっと気を失うみたいに眠った。  後始末を終えてから、同じ布団に入った。片肘をついて体を横向きにして、じっと顔を見つめていたら、いつのまにか、眠っていた。  ――――……ふ、と何かが胸元あたりに触れて、目が覚めた。  目を開けて目の前を見て、すぐ、先輩がすり寄ってきた事に気付いた。  はは。可愛い……寒いのかな。  布団を持ち上げて、先輩を抱き込んで、少しの間暖めてあげていたのだけれど。――――……なんか可愛すぎて、ものすごくその気になりそうになって、そろそろと布団を抜け出た。  水飲も……。  冷蔵庫から水を取り出して、何となく窓際に立つ。      ――――……なんか……ほんと。ヨかったなー……。      まあ気持ち良い事は、元々好きだし。  ――――……先輩みたいに、そういう事がやりたくないとか、そんな事は、思った事はないし。  恋人が居ない時期も、一夜限りでも結構あったし、経験はある方だと思うんだけど。  体がどうこうってより――――……  先輩の反応とか表情が、ヤバすぎて。  ほんと…………ヨかった。  先輩も気持ちよさそうだったけど、どうだったんだろう。  オレには未知の事だから、どんなだったのか。  嫌がりはしてなかったし。  イってはいたし。気持ちよさそうに泣いてたし。  キスも、めちゃくちゃ返してくれてたから、嫌がってる風には、全然見えなかったのだけど。  さすがに最後は余裕がなくて、少し激しくしてしまったから、  あの時、もしかしたら少し、辛かったかなあ……。 「三上……?」  声に振り返ると、先輩。 「あ。陽斗さん――――……起きちゃいました?」 「うん。……三上、寝た?」 「うん。少し寝ましたよ」  そう答えると、先輩はゆっくり、隣に歩いてくる。  なんかすごくゆっくりなので、大丈夫かなと思って、思わず触れて支えてみた。 「……体、大丈夫ですか?」  そう聞いたら、先輩、赤くなる。 「……大丈夫。……三上、ありがと」 「ん? 何がですか?」 「……優しかったから、全然、大丈夫」 「――――……」  ――――……何だかなあ。  ……これ、可愛くない人、居るのかなあ。  少なくともオレは、ほんとにめちゃくちゃ可愛いと思う。  さっき抱いてた時の先輩もよみがえってきて、顔が見てられなくなって、思わず逸らしてしまった。  マジで、恥ずかしい。  なんか、心臓がドキドキしすぎて、痛い。  と。自分のしてる体勢の不自然さに気付いて、いつまでもそっぽ向いてるのもなあと思い、先輩の方に視線を向けると。  先輩も、オレとは反対側のそっぽを向いていて。  ――――……ああ、なんか、先輩も恥ずかしいのかと思うと、ふと笑みが浮かぶ。 「……ね、陽斗さん」  腕を掴んで、少し、引き寄せる。 「……抱き締めても良い?」 「――――……っ……」  赤い顔して、ぐ、と言葉に詰まってから。 「……ん」  それでも、小さく頷いてくれたので、そのまま引き寄せて、抱き締めた。 「――――……」  ……男の人なのにな。この人。  どうしてこんなに可愛いって、思うんだろう。  顔に触れるサラサラした髪が愛しくて、ちゅ、とキスしてしまう。

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