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第196話◇本気のキス

「――――……陽斗さん」 「ん?」  腕を引いて、体勢崩した先輩の後頭部に手を置いて、オレに引き寄せて。  唇を奪う。 「――――……んっ……!」  びっくりしたのと、少し体勢が苦しいのかな。くぐもった声があがる。  離れようとするけれど、許してあげない。  舌を絡めて、上顎、舐める。  オレを跨いでる脚が、びく、と震える。 「……ん、ンっ……」  煽りまくるのが悪いんだし。もう。  ほんとに――――……。  めちゃくちゃ深くキスしてると、「ふ……っ」と一瞬離される。  腕で抱え込むようにして、より近付ける。 「……んー……っンん……」  文句言ってるみたいだけど。  駄目。 「……陽斗さんが、悪いんですよ」 「……な、んで――――……ん……」  めちゃくちゃキスすると、すぐ涙目になる。  可愛すぎる……。  くそー。もー。  「何で」じゃないっつーの。ほんとに、もー……。  唇塞いで、めちゃくちや深く口付けながら、体勢入れ替えて。  ベッドに組み敷いた。 「…………――――……ッ……」  声。出さないようにしてるみたい。  漏れるのは、熱い、息だけで。  ちょっと悔しそうな顔してんのが。  だめだ。 ……すげー。 「……っン!!」  マジで、声出させたくなる。  顎、押さえつけて。深く深く口づける。  どんだけ長い事、かなり本気でキスしてたか。 「……う……っん、っ……………ふ……っン……」  悔しそうな顔、消えて。  眉尻が下がって。――――……完全に、泣いてるし。  あー……。かわいい。 「……んん、んっ……」  ふるふる、首を振られて。  少しだけ、離してあげると。 「……く、るし――――……」  はあ、と息が荒い。 「じゃあちょっとゆっくりにする……」 「――――……っん……ぅ」  背中に回ってきた手が、ぎゅ、と服を握り締めてる。  ……ほんと、可愛いなぁ……。  なんて調子に乗ってキスしまくってたら。  まーしばらくして、離してから、すげー怒られて。  怒られてというか、照れられてというか、拗ねられてというか。  そっぽむいて、布団にもぐっちゃって。  全然出てこなくて。  とりあえずコーヒーを淹れて、機嫌を取ろうかなと思って。  コーヒー淹れてくるねと伝えてリビングに行って、10分後くらい。  何か、若干ふててるっぽい先輩がやってきて。  あんまり会話しないまま、コーヒーを一緒に飲んだ。  で。  しばらくしてから、先輩が言ったのは。 「つかさ」 「はい」 「キス。――――……どんだけ、してきたんだよ」 「……え?」 「……なんかもう。三上のキス、嫌だから」 「――――……」 「……どんだけ今までしてきた訳。すげームカつくから、もうしない」 「――――……」  それってさ。  ――――……ヤキモチ。かなあ。  ……死ぬほど可愛いって。  気づかないのは何でかな?

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