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第224話◇ヤバいって。

「……昨日、キスしたよ。結構、たくさん」 「――――……」  一瞬オレを見て、少し視線を落とす。 「……少しだけ、覚えてる」 「――――……寝ちゃったのは?」 「……そこは覚えてないけど――――……どうやって離れたか覚えてないから、そうなのかなと、思った」  恥ずかしそうな言い方に、オレはぷ、と笑ってしまう。 「ごめん、な?」 「――――……だから謝んなくていいですよ」  先輩の唇にキスして、それから、頬に口づける。 「可愛かったから、ほんといいから」  クスクス笑って見つめると、先輩はオレをじっと見つめる。 「……三上って、怒んないよな。ほんとに」  しみじみそんな事を言って、微笑む。 「怒る訳ないですよ。可愛いって思ってるし」 「――――……」  先輩の手が不意に、オレの両頬に触れて。 「――――……」  ちゅ、とキスされる。  じっと見つめあった後。また恥ずかしそうに、先輩は、ぱ、と離れて。 「こ、れ。運べばいい?」 「……うん。まあ……」  頷くと、先輩が、オレの手元から皿を運んでいく。 「――――……あのさ、陽斗さん」 「……ん?」 「……もー、ほんとさ。オレ、マジで、襲うけど」 「――――……」  びっくりした顔でオレを見た後。  また、かあっと赤くなるし。 「もうその反応も。ほんと、会社休ませるよ、もう」 「……2人で休める訳ないじゃんか……」  照れながら、もごもごと、何かを言ってるけど。 「……もう、ほんと、そろそろ限界なんですけど」  コーヒーのカップを持って、先輩の側に寄って、テーブルに置く。 「……明日、しませんか?」 「――――……」  まっすぐじーっと見つめ合う。目をそらさず見つめ続けてると、陽斗さんは、どんどん真っ赤になっていく。 「――――……い、いよ」 「……え」  惚けたオレ。 「え。……良いって言った?」 「……うん。言った。――――……っ……朝からこの話、無理。もう、おわりにしよ」  そう言って、オレの向かい側に座る。 「――――……」  今、良いって言ったんだよね。  話、もう終わりって 言われちゃったけど。まあ、こんな朝日の中で話すのが、恥ずかしいんだろうけど。  その前に、良いって、言ったよね。 「――――……ていうかさ。陽斗さん」  オレも座って、朝ごはんを食事を始めながら。 「何でそんなに可愛いの?」  思わずそう聞いたら。 「可愛くない」  即答された。 「ね、陽斗さん」 「……何?」  じっと見つめられて、ふ、と笑んでしまう。 「オレに、好きって言ったの、覚えてる?」 「――――……いつ??」 「昨日。キスしてる時」  ちょっと眉を寄せて、オレを見てる。  ……この反応は、全く覚えてないな。 「オレに抱き付いて、好きって」 「――――……ほんとに?」 「うん」  先輩はしばらく食べるのも止まっていたけれど。 「――――……まあ……言うかも……しんない」  ぼそ、と、そう言う先輩。 「~~~……休みましょうか、今日」 「……無理」 「何とかなりますって、休みましょう、あ、午前の半休でもいいですよ」  オレが半分冗談、でも半分本気で言ってると。 「そんな事したら、午後、絶対働けないから無理」  そんな理由で、断られた。恥ずかしそうに。  ――――……はー。もー。  テーブルに肘をついて、がっくり。頭を抱える。食事中だけど……。  この人、喋れば喋るほど、ヤバい事言ってるの。  わからないのかなあ……。  

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