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第246話◇可愛くて。※

  「陽斗さん、話したいこと、今はもう無いですか?」 「……?」 「始めたらもう止めらんないと思うから。話したいことあったら、今全部言って?」  そう言うと、一瞬間をおいてから、無い、と答えてくれた。  ベッドに組み敷いて、唇を重ねる。すぐに、深く深く重ねながら、服の裾から手を入れる。肌に触れて、まだ汗ばんではいない、さらさらした触り心地の良い肌を撫でると、たまに、ん、と声を漏らして、ぴくんと動く。  くすぐったがるの、可愛い……。  ――――……つか……なんかすでに、もうオレ、準備オーケーかも……。  早く、繋がりたい、とか思ってしまう。……もちろん、そんなわけにはいかないけど。 「陽斗さん……」 「……ん……ン……」  舌を存分に絡めて、奪う。 「……ん、ぅ……」 「――――……」  オレの袖に手がかかって、ぎゅ、と握られる。――――……そんな仕草だけで可愛いとか。  なんでだろ。 オレ、ほんとにヤバいな。  ――――……お試しじゃない、恋人。  そう言ってくれたのが思っていた以上に、じわじわと嬉しくなっていって。  触れてるこの人が、大事に思えて、しょうがない。  手を胸に滑らせて、突起を指の腹で刺激する。 「んっ……」  びく、と震えて舌が外れるけど、すぐにまた、舌をオレに触れさせてくる。  胸に触ってオッケイてことで受け取って、つまんだり、引っかいたりしてみる。  思う通り、震える体。  前の時も、初めてだったけど、結構、敏感だったっけ……。  ――――……すげー可愛い……。  先輩のが、だんだん反応してきたのが分かって、オレが自分のを押し付けてみると。 「……っ」  とろんとした顔をして、伏せていた瞳が見開かれて、至近距離のオレを焦ったみたいに、見つめてくる。 「……わかる? これだけで、もうすっげえ硬くなってんの」 「――――……っ……」  一気に赤面するとか。  ……反応が、可愛すぎて。  …………だから、まずいって……。 「……すげえ、好き。陽斗さん」  ぎゅ、と抱き締めて、首筋に顔を埋める。  舌を這わせて、そのまま耳に這わせると、あ、と声が上がる。  しばらく胸をいじりながら、耳を嬲って。  すると、あっという間に涙目になってて、それに気づくと――――……可愛くて、ふ、と笑ってしまう。 「……っん、ん……」  また唇を合わせて、深くキスしながら着ていた服をめくる。唇を一度離して、すぽ、と脱がせた。  肌、綺麗――――……。  細めだけど、細すぎず。いい感じに、さわり心地、良いし。 「……じ、ろじろ見んなよ」  む、として言われて。 「見るでしょ……」  そう言い返して、手を体に這わせると、困ったように、眉が顰められてしまう。 「――――……三上、てば……」 「……恥ずかしかったら、目、つむってていいよ」  そう言ってから胸の位置まで下がって、舌で舐めると。  びく、と震えて、背中がベッドから浮いて、少し反る。 「……ふ……っ」  顔を見ると、ぎゅっと瞳をつむって、唇を噛みしめている。  もう片方を手でつまんで、軽く擦ると、噛みしめていた唇が解けて、あ、と短い喘ぎが立て続けに上がった。  髪に、先輩の指がかかって、なんだか、しがみつくように、頭を押さえられる。 「……っん……ぅ……」  くぐもった声。  ――――……強く吸ったら、また体が跳ねた。 「――――……っ……」  その感覚に驚いたみたいに、オレを見る。目が合うと、また赤くなって、顔を少し背ける。  でも、抵抗は、しないでくれている。  多分、今までずっとノーマルだった人が、男に好きにされて、感じさせられるとか。  きっと相当ハードル高いことだと思うし。  ――――……きっと思うより、ずっと、恥ずかしいんじゃないかと、思うけど。  抵抗はしないで、受け入れてくれてるのが。  すごい、嬉しいし。  我慢できずに漏れる声や、体が震えるのを感じると。  気持ちいいと思ってくれてるのかなと思って――――……もっともっと、触りたくなる。  

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