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第256話◇朝
もう昼に近い時間。
めちゃくちゃいい天気なのが、カーテン越しでも分かる。
目が覚めて、隣でぐっすり眠っている先輩を起こさないように、ベッドを出て、シャワーを浴びた。
何時に起きるかな。
……結構、無理させちゃったしな。目が覚めるとこまで、そのままにしといてあげた方がいいよな。
とりあえず、コーヒーをセットして、ソファに腰かけた。
昨夜の陽斗さん、めちゃくちゃ、やばかったな。
……可愛いし。綺麗だし。……カッコいいしな、あの人。
でもって、めちゃくちゃ、色っぽかった。
「――――……」
つか。
……今日から。
いや、昨日から。
……オレ達って、恋人同士、なんだよな。
……どーする? どうしようか?
我ながら、何をどうするって言ってんだか、全然よく分からないけど、とにかく今、心の中が浮かれすぎてて、マジでヤバい。
陽斗さん、もう、オレのってことで良いんだよな。
お試しじゃなくて。完全に、オレと付き合うって言ってたよな。
もしかしたら、こうなる前から好きだったかもって思い始めてる、とか。
そんなことも、言ってくれてた。
つか。
……マジで、嬉しくて、ほんと。ヤバい。
昨日は、なんかもう、たまんなくて、触れてしまったけど。
……あとで、もいっかい、ちゃんと、聞こう。
オレのこと、好きって、もういっかい、言ってもらお。
……何してあげたら、いいんだろ。
……どうやって、付き合ったら、ずっと一緒に、居られるかな。とか、そんなことを、初めて本気で考えてる自分に気づくと、なんだか、可笑しい。
コポコポと、音がする。もうすぐ、コーヒー入るか……。
そう思いながら、リビングの大きな窓を開けた。
風が、さーっと、流れ込んできた。
目の前には高いマンションは無いので、空が開けて見える。
いつもの風景なのに、なんだか、輝いて見えるとか。
……誰かに……兄貴や祥太郎とかに言ったら、絶対笑われる気がするけど、なんだか、本当に、そう感じる。
あー、なんかオレ。……ほんとに好きなんだろうな……。
嬉しすぎて、世界が綺麗とか。ヤバいな。
どうしよう、顔が見たい。話したい。
……ほんとに、オレを好きだって言ってくれたのか、もう一度。聞きたい。
散々抱いて、しがみつかせて、抱き締めたけど。
……何か、夢中過ぎて、熱すぎて、夢みたいな時間だったし。
……コーヒー入ったよ、て、起こしに行ってみようかな。
ああ、でも、さっきめちゃくちゃぐっすり眠ってたしな……。疲れてるよな。起きるまで待つしか……。
「――――……?」
不意に、後ろから、腕が回って、背中にぎゅ、としがみつかれた。
「……つか、起こせよな」
少し掠れた声が、背中を通して、聞こえる。
自分の腰から腹に回った手に、触れる。
しがみついてる手を開いて、くる、と振り返る。
「よく寝てた、から」
その頬に、手を滑らせる。くすぐったそうに、少し首を動かして。
それから、オレを見上げる。
「陽斗さん、おはよ」
オレがそう言ったら――――……陽斗さん、は。
ふわ、と、この上なく綺麗に、微笑んで。
「おはよ、三上」
オレを見つめて、更に、その瞳を細めた。
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