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第255話◇番外編◆クリスマス🎄2/2
ふと、目が覚めた。
とてもとても、あたたかくて幸せな気持ちで。
目を開けたら、三上に抱き締められてて、そっと上に視線を向けると、三上は、すやすや眠ってた。
……珍しい。
……ていうかさ。昨日、めちゃくちゃするから。
疲れてんだろ。
と、昨日の三上にツッコミを入れたくなる。
たまに、少しだけ暴走……な感じのする年下の、恋人。
――――……大好きだから。いいんだけど。
昨日もほんと激しかったな……。
体、痛い気がする。
……幸せな感じ、だけど。
…………ってオレ、恥ずかしくない? 一人で何言ってんだろ……とも思うんだけど。でも。
端正な顔。整ってて。ほんとカッコいいなと、思ってしまう。
……別に、カッコいいから好きだとか、そんな訳じゃないけど。
今までも、そこまで外見重視で付き合ってた訳じゃないし。
まあ……なんとなく綺麗な子は多かったけど、それは告ってくる子がそうだっただけで……。
でもなんか。
この整った顔が、オレを見て、笑ったり、困ったり、たまに焦ったり。
……それから。
可愛いとこ一切なくなって、オトコだなって顔をして、オレを熱っぽく、見つめてくるのが。
……とにかく、全部、好きだなあ……。
寝てると、可愛い。
ふふ。
こういうとこは、弟っぽいかもしれない。
すやすやって感じ。
可愛いなあ。
って……好きすぎだよな。オレ。三上のこと。
三上じゃなかったら、オレは男とは付き合ってないと思う。
対象にもならないし。
三上にしたみたいに、他の誰かにあの悩みを話して、試しにキスして、なんて話になったとしたって……やっぱり土壇場で、無し、だったよな。
……ていうか、そもそも、あんな話、ほいほい誰かにしないし。
ってことは、オレ。やっぱりもともと、三上を信じてたんじゃないかなあ。バカにしたり、からかったりしない奴だって。……ずっと避けて話もしてなかったくせに。
会社で、三上がモテる話を、オレの同期とかが話すのをたまに聞く。「お前の後輩が~」っていう話の流れで。三上ってやっぱり目立つみたいで、よく話に出るらしい。
……まあ分かる。
カッコいいもんな。うん。
とか思うと。……普通に女の子と付き合って、普通の家庭を持った方がいいんじゃというそんなことを、先輩としては、後輩にお勧めしてあげたい気持ちも少しはあるけど。
……でもダメかも。
三上がオレを好きって顔で、見てくれてる間は、ずっとそばにいる。
……それがずっとだといいなと、思うオレも居るし。
「――――……」
なんか今日、すごい寒い。
……あと、すごく、静か。
三上の腕を抜け出して、窓から外を見ると――――……。
白い。……雪だ。
道理で、寒い。
「三上……」
思わず名を呼んで、ポンポンと触れた。
「陽斗さん……?」
眠そうな声。
……可愛いな、なんて思いながら。
「雪が、降ってるよ……」
「……え」
三上が起き上がって、窓から外を見下ろす。
「ほんとだ。……道理で寒いと思った」
ふ、と笑んで見つめられる。なんだか言葉が出ないけど。
二人同時に、ぶる、と震えた。
昨日抱き合って、そのまま寝ちゃったから、上は着てないんだよね。寒い……。
二人でクスクス笑いながら、布団にもぐって。中で、ぎゅ、と抱き締められた。
「……今日、どうする?」
オレが聞くと。
「オレも聞こうと思ってたんだけど……」
「あ、そうなんだ」
ふふ、と笑った唇に、キスされる。
「ずっとこうしててもいいし――――……出かけてもいいし」
「……うん。だね」
「陽斗さんと二人で居れるなら、ほんとに何でもいいですよ」
――――……きゅん。
みたいな効果音が。自分の中で聞こえる気がする。
漫画で見かけた気がする、心臓に矢が撃ち込まれるような。そんな感覚が、三上と居ると、よくある気がする。
なんなのこれ。
……カッコいいけど、可愛いし。
可愛いのに、すごく頼りになったり。
…………好きすぎるかもしれない。
「……オレも、ほんとになんでもいいけど」
「ん?」
「とりあえず、一緒に風呂入って、あったまろ? シャワーじゃ寒い……」
そう言うと、三上は、オレを抱き締めたまま、ふ、と微笑んで頷いた。
「あー……」
「……ん??」
「……積もったら、ホワイトクリスマスですね」
「うん。そだね。……三上って、ロマンチスト、だよな」
クスクス笑うと、ちょっと思っただけですよ、と苦笑いしてる。
――――……可愛いな。
オレを抱いてる三上の方に、少し体を寄せて、ちゅ、とキスした。
「……あの」
「ん?」
「……昨日めちゃくちゃしたんで、我慢してるんですよね、オレ」
「――――……」
めちゃくちゃした自覚、あるんだな、とか思って、少し可笑しい。
……ん?? 我慢?
「……我慢してんの??」
「――――……してますよ」
「え、何を?」
「何をって……」
めちゃくちゃ苦笑の三上。
「触りたいのを」
「嘘でしょ?……マジで?」
あんなにしたのに?
思わず好奇心に負けて、そろそろと、三上の下の方に手を伸ばしてしまう。
「ちょっ……! 陽斗さん!」
なんかちょっと、怒ったように呼ばれてしまった。
「ごめん、だって……」
ほんとかなって思ってつい……。
ますます反応しちゃったような……。
えーと……。
「あの……一回だけ、な?」
「――――……」
言うと。一瞬、え、いいの? みたいな顔をしたけれど。
すぐに、もうすっかりその気の三上に押し倒されて、キスされる。
「あ……」
「え?」
ふと思い出したことを、話し始める。
「……ホワイトクリスマスのさぁ」
「はい……?」
「反対の言葉、知ってる?」
「えーと? ……ブラッククリス……」
「不正解、だよ」
途中でふふ、と笑いながら言うと、不思議そうな顔をした三上の首に手をかけて、引き寄せる。
「グリーンクリスマスって言うんだってさ」
「……何でですか?」
「さあ……よくわかんない……そう聞いただけ」
ふうん、と笑う三上に、キスする。
「……ごめん。ちょっと思い出したから、言いたかっただけ……続き。しよ」
そう言うと、なんだか、食べられてしまいそうな感じで、キス、される。
「……ん……っふ……」
……ああ、なんか。
…………きもちぃな。
こんなに。
好きになるなんて。
――――……クリスマス、これからも、ずっと。
一緒に居られたらいいな、なんて。思うなんて。
三上との初めてのクリスマスの朝は。
結構長いこと。ベッドで過ごすことになった。
- Fin -
(2022/12/31)
大晦日……(^^♡
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