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第十章・8

「同情なら、結構だよ。もう、終わった話だ」 「でも雅貴さんの心は、まだひどく傷ついています」  僕は、雅貴さんにたくさん慰めてもらって、癒してもらいました。  するり、と藍はパジャマを脱いだ。 「僕じゃ役不足かもしれないけど。けれど、少しくらいお役に立てれば」 「その気持ちだけで、充分だ。もう、寝なさい」 「ダメですか」  上目遣いの潤んだ瞳は、雅貴の心を揺さぶった。  動揺していると、藍は雅貴のパジャマの下に手をかけてずらしている。 「あ、藍くん?」 「雅貴さん、こういうの、知ってますか?」  止める間もなく、藍は雅貴のものに手を添え、静かに口に含んだ。  柔らかく温かな藍の咥内に導かれ、雅貴のペニスはみるみる勃ち上がり始める。 「藍、くん……ッ」 「藍、って呼んでください」  気持ちいいですか?  やわやわと陰嚢を揉みながら、何度も何度も喉奥まで送る藍の技巧は手練れている。 (継父に教え込まれたんだな)  そう思うと、逆に藍が悲しくなってくる。 (辛かっただろうに)  夢中でしゃぶる藍の髪を、雅貴はさらりと撫でた。 「藍、本当にいいんだな?」 「はい」  では、いくよ。  雅貴はゆっくりと、藍の喉奥に腰をやり始めた。  癒しと言うには熱い夜の、始まりだった。

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