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第3話 後処理の指導

 その後、聴取等が終わってから、僕は風紀委員会室の奥にある、風紀委員長室へと呼ばれた。緊張しながら中に入る。そこには仮眠用のベッドと執務机、ソファセット等があった。 「座ってくれ」  施錠した七折委員長は、僕をソファに促した。そして、紫色のボトルをテーブルに置いた。 「これがなんだか分かるか?」 「……?」  ボトルにはローションと書いてある。僕の中には無い単語だ。 「伊澄は、一人でする時、どうしている?」 「何をですか?」 「――自慰だ」 「!」  真面目な顔で聞かれたが、僕は赤面してしまった。目を見開き、プルプルと震えてしまう。僕は自慰をあんまりした事が無いのだ。性的な事柄には、なんというか抵抗感のようなものがあって、気恥ずかしくて出来ないのである。 「基本的には、男同士の場合、前だけでなく後ろを使う」 「後ろ……?」 「処理というのは、そちらの中に精液等を出されていたり、切れて血が出ている場合に行うんだ」 「……」  衝撃的すぎた。呆然としていると、七折委員長が嘆息した。 「具体的に教える事にするから、こちらへ来てくれ」  委員長はそう言うと、寝台を見た。僕はビクリとした。具体的に……? しかし指示に従わず愚鈍と思われたくなかったので、僕は言われた通りにそちらへと移動した。体がこわばってしまった……。そんな僕に、七折委員長が言う。 「まず、ちょっと昂めてくれ」 「え?」 「自分で普段しているように触ってみろ」 「!」  何を言われたのかわからず、僕は唇を震わせた。すると委員長がスッと目を細めた。 「俺の言う事が聞けないか?」 「!」  僕は必死で首を振った。僕の中で、七折委員長の言葉は絶対なのだ。僕は困惑しつつも、そして羞恥を覚えつつも、ベルトに手をかけた。そして制服の下をおろして、下着を見た。チラリと委員長を見ると、執務机に座って膝を組んだ所だった。早くしろと瞳が語っている気がした。僕は寝台に座り直して、下着に手をかける。すると萎えきっている僕の陰茎が空気に触れた。おずおずと右手で握ってみる。それを動かして見たが――見られている緊張も手伝って、気持ち良いなんて思えない。  それでも暫く手を動かした。そうしていたら、委員長が吹き出した。 「お前、それでイけるのか?」 「!」  ビクリとしてしまう。顔が熱い。実際全然反応していないので、達するのは無理だろう。怒られていしまう。そう思っていたら、七折委員長が立ち上がった。 「時間が無いから、手を貸す」 「え……――ッ!」  七折委員長が、絨毯の上に膝をついた。そして僕の右手の上に、自分の手を重ねた。 「!」  そのまま――委員長は僕の陰茎を口に含んだ。目を見開き、僕は状況の理解に必死になる。温かい七折委員長の舌が、僕の陰茎を舐めている。口が熱い。 「……っ……」  僕は、僕の陰茎を咥えている端正な七折委員長の顔を見た瞬間、顔から火が出そうになった。唇に力を込めて口淫されると、僕の陰茎はそれまでとは異なり、あっさりと勃起した。ダメだ、出てしまう……。 「ッ……ぁ……あ、あの! あ……も、もう……」 「……」  僕が出ると言おうとした時、チラリと僕を委員長が見た。目があった瞬間、僕は泣きそうになった。腰に熱が集まっていく。だが、委員長の口に出すなどダメだ。そんな恐れ多い事は出来無い。 「っ、く!」  だが、口の動きを早められて、僕はあっさりと放ってしまった。肩で息をしていると、そんな僕の出したものを、委員長が飲み込んだ。喉仏が上下している。恥ずかしすぎて、僕はギュッと目を閉じた。 「今日はここまでだ。悪いな、時間が無くて」 「……」 「明日は午前中に来てくれ。一番都合が良い。見回りは、この指導中は休んで良い」  僕はその日、どうやって寮に帰ったのか上手く思い出せない。  ――この日から、七折委員長の指導は始まった。鍵のしまった風紀委員長室で、僕は下を脱いで、寝台に座る。そして言われた通りに、自慰をするのだ。それが五日ほど続き、僕はなんとか、自分の手でも出せるようになってきた。これが、慣れてくると気持ち良くなってしまった……。仕事の傍ら、七折委員長に触り方を教わり、その内に――僕は委員長の手や口を思い出すと、体が熱くなるようになってきたのである。 「来い」  その時、七折委員長が、椅子を回転させて、寝台の上にいる僕を見た。もう少しで出そうだったが、僕は手をとめる。そして委員長の前まで行くと、委員長が言った。 「そろそろ良いか」 「……?」 「もっと具体的にどうするか伝える」  委員長はそう言うと、立っていた僕の、後ろの双丘を掴んだ。そして臀部を押し開くようにする。その時、指先が僕の菊門に触れた。僕はビクリとした。そんな僕の襞をほぐすように委員長の指先が動く。 「ここに挿れるんだ」 「!」 「その為に、最初に見せたローションを使う。自分で解せるか?」 「……」 「解せるな? それを垂らして後ろに指を入れてみろ」 「……は、はい」  僕は手渡されたローションを、おずおずと受け取った。真っ赤なままだ。キャップを恐る恐るひねって、手に垂らしてみる。  そうして寝台へと戻り、僕は恐る恐る指を一本入れてみた。異物感が強い。ぬめりがあるから痛みは無いが……気持ち良くは無い。しかし解さなければ、無能の烙印を押されてしまうかもしれない。僕は七折委員長に嫌われたくない。委員長は有能な委員が好きらしいのだ。 「っ」  指を動かしてみるが、どうやれば解れるのか分からない。そう思っていたら、委員長が嘆息した。 「指を増やせ」 「!」 「三本は入るようにしろ」 「……は、い……」  頷きながら、僕は緊張しつつ二本目を入れた。それだけで満杯になってしまった気分だったが、三本目を入れようと試みる。 「少し指先をバラバラに動かしてみるように」 「っ……はい」 「ぎこちないな」  そう言うと委員長が立ち上がり、僕のもとへとやって来た。申し訳なさでいっぱいになった僕は、泣きそうになりながら委員長を見上げる。 「こうやるんだ」 「!」  委員長がそう言うと、ローションをつけた二本の指を僕の中に挿入した。そして――軽く指先を折り曲げた。その瞬間、僕の全身が痺れたようになった。自分の指とは全然違う。 「っ、ぁ」 「ここか?」 「ッ、く……ン……」  自分のものでないような、鼻を抜けるような声が出てしまった。恥ずかしくなって唇を噛む。この日――僕は委員長に後ろを解された。  以降、僕は前を弄りながら、後ろを自分で解す練習をする事になった。まだ強姦後の処理の指導の序盤らしい。そう、これは、あくまでも指導なのだ。だが――……。 「立っているように」 「ひっ、ッ……」  僕はこの日、風紀委員長室ですすり泣いていた。  立たされている僕の太ももは、ガクガクと震えている。委員長は僕の陰茎を口に含みながら、指を後ろに入れて、気持ちの良くなる場所をずっと刺激しているのだ。そうされると、今では出そうになってしまう。 「ぅ……ン……っ、ぁ……」  声がこらえきれない。涙もこらえきれない。体が熱い。しかし指導を拒んで嫌われるのはもっと嫌だった。僕は有能な風紀委員になりたいのだ。そして七折先輩に好かれたいのである。 「ぁ……ァ……ああ!」  その日、僕は後ろを刺激されながら、委員長の口に放ってしまった。直後力が抜けてしまい、僕は立っていろと言われたのに倒れ込んだ。するとそんな僕を正面から委員長が抱きとめた。 「! ン、ひゃ!」  そして僕の耳の後ろを指でなぞりながら、耳の中に舌を差し込んできた。吐息が触れる。それだけで僕の敏感になっていた体はゾクゾクとした。無意識に僕は委員長の体を押し返そうとしたが、力の抜けてしまった体では何も出来なかったし、委員長の腕は力強く、その胸板は厚い。  委員長は僕を抱き上げると、寝台に軽く突き飛ばすようにした。そして――ネクタイを解くと、僕を押し倒した。 「っ」 「やっと実地訓練が出来そうだな」 「!!」  委員長が僕の中に押し入ってきたのは、それからすぐの事だった。 「あ、あ、あ」  指とは全然違った。熱く固く長いものが、僕を貫いている。 「あ、あ、ああああ!」  僕の体が、快楽でドロドロになっていく。何も考えられない。繋がっている箇所の熱が気持ち良すぎて、僕はボロボロと泣きながら、首を振った。体が変だ。委員長が動くたび、ぬちゃりとローションが水音を立てる。グっと感じる場所を突き上げられると、僕の視界が真っ白に染まった。 「掻き出すというのがどういう状況か分かるようにするのが本意だからな。中に出すぞ」 「あ、ああ……あああ!」  そのまま一際大きく打ち付けて、委員長が僕の中に放った。同時に前を撫でられて、僕も果てた。寝台の上で、僕はぐったりとしていた。体が汗ばんでいる。この風紀委員長室にはシャワーもある。しかしすぐには起き上がれそうにもなかった。  委員長は僕から陰茎を引き抜いた。すると、たらりと肌を白液が垂れていった。 「こうするんだ」  委員長はゴムを指につけると、僕の内側の精液の処理を始めた。僕は放心したまま、その指の感覚を体験していた。 「もっと様々なケースを覚えてもらう」  僕は指導は終了するのかと思っていたのだが、そうはならなかった。  翌日からも、僕は委員長室に呼ばれた。見回りには復帰したが、委員長は空き時間ができる度に、僕に特別指導を行ってくれている。 「ぁ……あ、ア」  この日は、僕は委員長の上に座らされて、右胸の突起を吸われていた。そうされるとジンと体の芯が疼くようになってしまった。今では、委員長にどこを触られても、僕は体が熱くなる。 「強姦事件では、玩具が使用されている事も多い。これも押収品だ。未開封だが」  委員長は散々僕の胸を嬲ってから、熱い体の僕を、寝台に押し倒した。そして白い玩具を取り出した。箱にはローターと書いてあった。 「!」  振動する球体を後孔に入れられて、僕は目を見開いた。泣きながら僕は耐える。壮絶な快楽が規則的に襲ってきて、怖くなった。 「あ……ああ、あ……ン……んん!」  僕の体はドロドロにされ、どんどん開かれていく。訓練であり指導なのだと分かるのだが、委員長の手つきはいつも優しい。僕の体は、最近では、委員長を求めている。いつも、早く挿れて欲しいと思ってしまう。 「あ、ゃぁ……」 「嫌か? 俺に逆らうのか?」 「っ、……う、うあ……あ、あ」 「もう指導はこれっきりにするか?」 「ひ、ぁ」 「――それで、お前の体は持つのか?」 「やぁあああ、あ、あ、あ、もう出る、あ、あ、あああ!」  僕の理性が飛んだ。泣きじゃくりながら委員長の体を押し返そうとすると、吹き出すように笑ってから、委員長がローターを引き抜き挿入してきた。求めていた熱に穿たれて、僕は嬌声を上げる。強すぎる快楽に気が狂いそうになって、僕はもがいた。するとのしかかってきた委員長に手を強く掴まれて、寝台に縫い付けられる。身動きが出来無い。 「いや、いや、あああ、ダメ、待って、体が、あ、あ、あ、おかしい」 「敬語が消えているぞ」 「あ、あ、あああ、七折委員長……っ、あ、は、ダメ、ダメ、何か、来ちゃう、クる、やぁああ」  そのまま、僕は中だけで果てていた。前からは何も出ない。全身を電流が襲ったようになった。バチバチと視界が白く染まる。 「ドライだ。よく覚えておけ」 「あ、あ……」  僕は快楽のあまり、泣きながら気絶した。  目を覚ますと、体が処理されていた。拭いてあって、委員長が出したものも既に無い。ぐったりとしていた僕は、委員長がこちらを見たから、慌てて体を起こそうとした。すると委員長が微笑した。 「お前は、随分と俺の事が好きらしいな」 「!」  真っ赤になるしか無かった。だって、大好きなのは間違いない。しかしその気持ちがバレているのが恥ずかしすぎた。だからギュッと目を閉じる。 「どうなんだ?」 「……」 「言え」 「……っ」 「伊澄」  名前を呼ばれた。僕の胸は満杯になってしまった。 「……好きです」

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