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第6話

しばらく後、少し遠いが仕事を見つけ、そこで働き始めた。それにより、一転して家事は主に在宅の理一がやることになった。 「ただいま」 「おかえり」 理一は相変わらず人の気持ちを考えない。が、機微には少しだけ敏感になった。 「疲れてる?」 「んー、ちょっとトラブった」 壮馬の声に元気が無いことに気づいたのだろう。ジャケットを脱いだ壮馬の身体を抱き締めて、よしよしと頭を撫でる。 「ご飯出来てるよ。風呂も沸かした」 「お前って本当に仕事出来るよな……」 とりあえず腹拵えをして、風呂に入る。風呂から上がると、待ち構えていた理一にベッドまで連行された。 「べたべたに甘やかすのと、何も考えないでぐちゃぐちゃにヤるの、どっちがいい?」 「……どっちも」 「難しいこと言うなぁ」 それでも出来るのが理一という男だ。シーツに寝かされ、頭が溶けそうになるまで煙草臭い口付けを交わす。 「ん、ん……ぁ、ふ」 「……力抜いて」 ずる、と後ろに指が入ってくる。ローションを纏った指で丁寧に解され、時折感じる所を押されれば身体が跳ねた。指が増やされ、唇が今度は胸元に下りてくる。 「は、あ、ぁ、理一」 「うん、気持ちいいな」 ぷっくりと熟れた果実を、理一が歯と唇で責め立てる。その度に中がうねって彼の指を締めつけた。四本目を入れようとした辺りで、我慢できなくなって彼の手首を掴む。 「も、欲しい」 「ん」 腰の高さを合わせて、ゆっくりと理一が入ってくる。内壁に擦れる感覚が堪らなくて、開いた口から漏れる声が甘ったるく蕩けていた。 「あぁ、んあ、あ、は」 「はー、気持ちいい……」 とん、と奥に来て腰が止まる。肩にしがみついて呼吸を整えていると、理一が耳に齧り付いてきた。止められないのをいいことに、ガブガブと耳朶を甘噛みしてくる。 「ん、は、んん」 「耳で感じてるの? 可愛い」 「うるせっ、バカ」 揺れる腰を捕まえられて、ゆっくりと動きだす。自分本位なセックスをしなくなった分、随分と成長したと思う。尤も、成長されたお陰でこちらは大変な目に遭っているのだが。 「あ、あ、うぅ、う」 「ここだろ、気持ちいい所」 「ん、んんっ、そこ、ばっか……っ」 理一は壮馬の快楽を第一に優先することにしたらしい。自分が良くなるより、壮馬が気持ち良くなるように動くようになった。ただでさえ相性が良かったのに、そんなことをされてしまえば堕ちていくのはあっという間だった。 「あぅ、理一、いく、いくからぁっ」 「うん、いいよ」 「ひっ、ああぁ、あ――……っ!」 視界が白く弾け飛ぶ。ガクガクと脚が震えて、理一の腰を両脇から押さえつけた。絶頂の余韻にぐったりと目を瞑っている間、理一はじっと動かずに待っていた。 「……もういい?」 「ん、いいよ」 壮馬が許可を出すと、今度は自分が達するために腰を振りだす。敏感になっている中を気遣って、始めのうちはゆったりとした動きだ。 「ん、ん、んっ」 「は、ごめん、そろそろ」 ぐ、と強く腰を掴まれる。打ちつけるペースが早くなって、限界が近いのだということが伝わってきた。首にしがみつくと、耳元で荒い呼吸が聞こえた。 「はー……っ、壮馬、イく」 「ん、出して」 ビク、と理一の身体が震えて、中に入った物がドクドクと脈打つ。出ていく感覚に背筋を震わせた。次いで、指が中に入り込んでくる。 「い、いって、自分でやる」 「いいよ、やりにくいだろ」 ぐ、と指を折り曲げて、中に出した精液を掻き出していく。これが面倒で、本当はゴムを着けた方がいいことは分かっていたが、理一が渋ったので結局許してしまった。その代わりに、と理一が進んでやりだしたのだ。 「はー、あぅ、ん」 「うーわ、なんかエロ」 「……バカ」 指についた精液を拭きながら理一が笑っている。ゴロンとベッドに転がると後ろから抱き締められた。 「あのさぁ」 「ん?」 「最近、顧客の女の子にアプローチされて困ってるんだよね」 「……ベッドの中で他の女の話とか最低だな」 「まあまあ、最後まで聞いてよ」 壮馬の言葉を笑いながら躱すと、後ろから壮馬の手を取って、すりすりと指を撫でながら話し続ける。 「俺彼氏いるよって言ったんだけど、全然引く気配無くてさぁ。仕事はくれるからあんま切りたくないんだけど、もっとこう、直接的な方がいいのかなと思って」 「彼氏って言ったのかよ」 「言ったよ? 今時珍しくもないだろ」 それで引かないのは相当強心臓というか、頭が悪いというか。戦く壮馬の手を握って、理一が声のボリュームを少し落とした。 「だからさ、今度指輪とか買いに行かない?」 さっきから撫でられていたのが左手の薬指だということに、ようやく気がついた。 「…………下手くそ」 「なんでだよ。本当にそう思ったんだからしょうがないだろ?」 「もっと情緒ってもんがあんだろ。魔除けみたいな動機なら買わねぇぞ」 理一が壮馬の肩口に唇を当てる。もごもごと言いにくそうに言葉を紡いだ。 「……指輪、欲しいから、一緒に買いに行こ」 「ん。俺、明後日休み」 「明後日!? 早、くない?」 「んだよ。魔除け込みなら早い方がいいだろ」 「そうだけど」 実感湧かないんだけど、と土壇場で少し引き気味になった理一の脇腹を肘で突く。休み明けに指輪を嵌めて行ったら、職場の人からつつかれること間違いなしだな、と少し憂鬱になった。 「……あ、俺からも1個」 「うん?」 少し先になるが、こういうのもアリだろう。それを話すと、理一はニヤッと笑った。 「元彼だろ」 「ハズレ。振られた相手」 「余計タチ悪いな。嫌がらせじゃん」 「そうだよ。無神経に送ってきやがったから送り返してやんの」 ぶすくれる壮馬に、理一は心底可笑しそうに笑った。いいんじゃない、と笑って一言。 「写真、いつ撮りに行く?」 「ん〜……まあ、まとまった暇が出来たらでいいや」 ついでに旅行でも行きたい所だ。旅先で撮った写真を使うのもいいかもしれない。綺麗な海をバックに、二人で仲良く写った写真を大きく載せて、大きな字でこう書いてやるのだ。  結婚しました

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