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【16】-3
触れたものが擦り合わされると、言葉にできない愉悦が身体中を走り抜けた。
ああ、と抑えきれない喘ぎが口から零れ落ち、清正の口づけがそれを封じた。
深く舌を絡め合う。
熱く硬いもの同士が互いを擦り合い、短い呼吸の合間に甘い声が零れた。
「あ、あ……ん、あ……」
「光……、っ……」
捏ねられて絡まり合う熱杭に、堪えきれない悦楽が満ちてゆく。きつく身体を抱きしめ合い、舌を絡めるキスを繰り返しながら密着した腰を前後に揺らした。
「あ、あ、……」
もっと……。
もっと近くに行きたい。
もどかしく全身がうねる。
胸の突起を指で押しつぶされて背中が跳ねる。泣きそうな声で限界を訴えた。
「や、あ……、でちゃ……」
「出せよ」
「や。あ……っ!」
俺もイくからと囁かれて、最後の堰が切れた。
「あぁ……っ」
ひぅ、と悲鳴に似た声が漏れた瞬間、光は勢いよく弾けていた。
「あ、ああ……っ」
「……っ!」
少し遅れて、清正も熱い液体を放った。
光の腹を二人分の白濁が濡らした。とても、温かかった。
清正は軽く目を閉じて、乱れた呼吸の合間に「ああ……」と満足そうに呻いた。
その声にゾクリとし、額に光る小さな汗の粒に心臓がドキドキ騒いだ。
満ち足りたその顔を綺麗だと思った。
瞼に焼き付け、長い睫毛を伏せる。
光の唇からも熱い吐息がいくつも零れてゆく。緩く腰を揺らして甘い余韻を味わい、呼吸が整うのを待って唇を合わせた。
唇を舐め、舌を触れ合わせて、何度もキスを繰り返した。
キスは好き? 光の舌に優しく舌で触れながら、清正が囁いた。
きらきらした気持ちが胸を満たしていた。清正の前で精を吐き出すことは、少しも怖いことではなかった。
(とうとう、してしまった……)
清正とセックスをしてしまったのだ。なんだか胸がいっぱいになりながら、光はその事実を噛みしめた。
「……しちゃったな」
「ん? しちゃったって?」
「えっと……、清正と、えっち、した」
頬を熱くして繰り返すと、なぜか清正が沈黙する。
「…………」
不思議に思って閉じていた目を開いた。
困惑した顔が光を見下ろしていた。
「……どうしたんだ、清正?」
「いや。あのな……」
しばし、言葉を探していた清正が、何か助けを求めるように視線を巡らせた。そして諦めたように、ぼそりと言った。
「……まだ、違うから」
「違うって?」
「まだあるんだよ。これで、全部じゃない」
怪訝な目で見上げていると「また、今度教える」と言って、どこか困ったような顔で光の髪を撫でた。
頭上に目線を逸らしたまま、清正ははあっと深いため息を吐いた。
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