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なにこれ?

 須藤が離れて鞄の方へ行くのが分かった。慎弥の中で再び危険信号が灯る。 「おい。なんか変な道具使うなよっ」 「え? 道具は使わねーけど……ローション取ろうと思って」 「ローションだったら俺も用意しといたから」 「ん? いや、いいよ。俺も持ってきたし」  そう言って須藤が鞄からローションらしきものを取り出して、戻ってくる。チューブ状の容器から手に出したものは、ローションと言うよりはクリーム状のものに見えた。 「……それ、何?」 「ローションみたいなもん」  なんか怪しいな、と思った。が、須藤がすぐに愛撫を再開したため、そちらに意識を持っていかれて慎弥のその疑問は遙か彼方に消えていった。クリームが付けられた須藤の指が慎弥の孔の周りをゆっくりと這うのが分かった。ぴくり、と慎弥の体が反応する。 「あっ……あ……んうっ……」  ぐっと須藤の中指が中に入ってきた。優しく中で回される。クリームの冷たさがやけに気持ちいい。 「あっ……はあっ……」  後ろからぴたりと須藤が体を重ねてきた。中の指も、胸を弄る手も緩めずに後ろから耳を舐めてくる。思わず仰け反った。 「んんっ」 「気持ちいい?」 「ん……」  突然。孔辺りが熱を持ったように熱くなってきた。じんわりと広がっていく熱が心地よい。  なにこれ?  もの凄い快感とは違う。ゆったりとした気持ちよさ。須藤の指の動きに合わせてその快感が高まっていった。 「須藤……?」 「ん?」 「これ……何?」 「……媚薬クリーム塗った」 「媚薬?」 「ん。だけど、即効性のやつじゃない。時間かけてゆっくり効いていくらしい。そんでめちゃめちゃ続くって」 「続くって……どれくらい?」 「さあ……俺も使うの初めてだから」  そうこう話している間にも、ふんわりとした快感が慎弥を包んでいった。興奮というよりはリラックスした気持ちよさだった。

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