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おまけ

「ふーん。須藤くんってあんなに奥手なくせに、そういう時には男出してくるんだ」 「男って言うか……豹変するって言うか……」 「ムッツリ変態ってことじゃん」 「……そうかもな。あんだけ道具やらなんやら用意してきたし」  須藤と初夜を過ごした数日後。尚人が待ちかねたように慎弥の家へと押しかけてきて、根掘り葉掘りふたりの初夜について質問してきた。 「で、慎ちゃん、一体どんだけしたわけ?」 「寝るって決めてからはしてないよ」 「え? だってさっきベッドでしたって言ってたじゃん」 「1回はした。だけど、その後は操を守り通したし」 「そうなの? よく諦めたね、須藤くん」 「攻防戦はあったけどな。最後は俺が妥協案を出してなんとか丸く収めてやった」 「妥協案って何?」 「とりあえ1回寝かしてくれって言って。その代わり、起きたら口でやってやるからって」 「……慎ちゃん、大変だね」  その妥協案を出した時。須藤は究極の選択とでも言うように随分悩んでいたが、そこに須藤の持ってきたコスプレ用の衣装(Tシャツの他にも沢山出てきた)の中から1つ着るという追加の一押しをしたところ、妥協案を飲んだのだった。  次の日の朝、まだ違和感の残る体にムチ打ちながら頑張り、須藤はご満悦で仕事へと向かっていった。こんな日々が、シーズンオフ中頻繁にあるのかと思うと少し不安も残るが。 「でもさぁ」  そこで尚人がニヤニヤしながらこっちを見た。 「嫌いじゃないんでしょ?」  そう。不安も残るには残るが。 『好きだ』  セックスの途中に、欲に満ちた目で自分を見つめて呟いた須藤を思い出す。結局のところ。自分も、須藤とのセックスが嫌いではないのだ。たぶん。  慎弥は微かに笑って尚人を見返して答えた。 「まあな」  うわぁ、慎ちゃん、エロい!須藤くんが羨ましい~と騒ぐ尚人を見ながら、次須藤に会えるのはいつだろうかと考えて、その日を思って心躍らせた。 【完】

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