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倦怠期って 4
飲み物が揃い、定位置に収まったオレと雪夜さんだけれど。今日は弘樹が家にいるから、必要以上の触れ合いはない。
それがちょっぴり寂しく思えて、でもオレのワガママに付き合ってくれている雪夜さんには感謝の気持ちもあって。
これ以上、雪夜さんを困らせるようなことはしたくないと思ったオレは、雪夜さんの隣りでカフェオレを飲みつつほっこりタイムに入った。
「白石さん、このカフェオレ美味いッス。セイも白石さんも、2人とも主婦力があるってすげぇ……部屋もピッカピカだし、俺とは住んでる世界が違う」
「まぁ、俺は独り暮らししてたしな。星は小さい頃から家の手伝いしてたみてぇーだし、家事に困ることはねぇーよ」
センスの良い雪夜さんこだわりの安らぎ空間で、のんびりと過ごす時間は弘樹にとっても悪いものではないんだなって感じたオレは、オレが褒められているわけじゃないのになんだか嬉しくなってしまうけれど。
オレも弘樹も、考え方や言動が異なるだけで住んでる世界は同じなんじゃないのかなって思ったオレは口を開いていく。
「住んでる世界が違うんじゃなくて、家事をやろうと思うかどうかだと思う。インテリアのコーディネートは雪夜さんが全部してくれたけど、毎日ある程度掃除はしないとせっかくのキレイなお家が台無しになっちゃうから」
「確かに、それはある。康介も独り暮らししてるけど、アイツの部屋はゴミ屋敷だし。あのバカは料理もしねぇーから、自炊しない分食費がかかるらしい」
オレの意見を肯定して、浅井さんの話をする雪夜さんはテーブルの上にある煙草の箱に手を伸ばす。
「やろうと思ってできるもんじゃねぇんだよ、セイちゃん。俺はたぶん、浅井先輩と同じタイプ」
「それじゃあ、弘樹が独り暮らししたらそのうちお家がゴミ屋敷になっちゃうよ……主婦力っていうか、西野君なら女子力高いから、今のうちから西野君に色々教えてもらっておいた方がいいんじゃないの?」
「星くん、お前はホントに弘樹相手だとえげつねぇーこと言うのな。西野と弘樹の今の状況考えてやれ、お前の発言で弘樹が瀕死した」
クスクスと笑いながらも、もう少し考えてものを言えとオレに言う雪夜さん。弘樹は雪夜さんの言った通り、体から魂だけが抜け落ちているみたいで。
弘樹の肩を持つ雪夜さんは、弘樹のことを可愛がっているんだろうなって。それが嬉しくもあり気に食わないオレは、雪夜さんの忠告を無視して弘樹に向かい声をかける。
「西野君は不安なんだよ、自分が女の子じゃないから……弘樹と西野君はオレと雪夜さんみたいに同棲しているわけじゃないし、それに弘樹はっ……その、ね」
弘樹は童貞だったから、もしかしたら女の子とえっちなことをしてみたかったのかもしれないと。西野君がオレに話してくれたことを言いかけ、でも結局オレは童貞という言葉を口にできずに口篭ってしまった。
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