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第46話●気づかなかった自分の本心

「……ッ、ま、だ……続ける、のか……? ……ン……っ」 「もちろん……だって、ようやく貴方の心に届く……好きです、カナイ」  熱にやられた時のうわ言みたいなミカルの呟きに、俺の鼓動が大きく爆ぜる。  理由を知ったところで、俺が置かれた状況も、ミカルと俺の立場も、今までと何も変わらないというのに。  あの小さく無力だった子供が俺を上回る力を身に着け、俺を求められるようになったと思うと、嬉しくてたまらない。  奥を突かれて新たに生み出されていく快楽は、頑なだった心にまで響き、大きなうねりとなって俺の理性を飲み込んでいく。  ずっと抗おうと強く決めていたのに。  ミカルの告白に懐柔された心は堪えることなく、あっさりと理性を手放した。 「あぁッ、ぁ、おく、が……アッ……ンむ……ンっ……」  素直に感じるようになってしまった俺へ、ミカルが最奥を穿ちながら唇を奪う。  密着する唇が、這い回り絡みつく舌が、伝わってくる熱が──すべてが甘い痺れとなって心地良い。  夢中で俺はミカルの背へしがみつき、淫らに唸り、嬌声を安易に溢していく。  ここまで胸の奥底を満たし、虚しさのない快楽を与えられたことはない。  もっと気持ちさを求めて──ミカルが欲しくて、俺は自分からも舌を絡め、衝動のままに腰を揺らす。そうすればより淫靡な刺激を覚え、俺は自分を嬉々として追い詰めていく。  この行為に激しく悦んでしまう今に、俺はずっと気づかなかった本心を見てしまう。  俺は……愛に飢えていたのか。  人だった時も、吸血鬼になった後も、愛を得ることなどないと思っていたのに。  先代の吸血鬼の王が情けを与えてくれた時でさえ、あれは同情であって、愛してくれている訳ではなかった。同胞であり味方なのだと俺に教え込む行為なだけ。  ──一瞬、ヒューゴが脳裏をよぎる。  もし俺が望んでいたなら、アイツと契りを交わしていたかもしれない。  だがヒューゴは僕。俺に忠義を尽くしてくれる延長で俺を愛してくれただろうが、自分から望んで俺に手を伸ばすことはしなかったと思う。現に俺たちに体の関係はなかった。  どんな状況であっても自ら手を伸ばし、俺を激しく求めたのはミカルだけ。  その現実を思い知り、俺の目元が熱くなる。  悦びに感極まっているのか、本当に求めて欲しかった相手ではないと嘆きたいのか分からない。  快楽以外の感覚を追い出したくて、俺はミカルにしがみつく腕へ力を込める。  そんな俺の望みに気づいて応えるように、ミカルは俺を強く抱き締め、より深く繋がって俺にさらなる悦びを刻んでいった──。

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