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二度目

家から約三時間程の距離に三人の お墓がある。掃除を済ませ、買ってきた お菓子を添えた。 「母さん、父さん、ばあちゃん。 皆で食べよう」 買ってきたお菓子をゆっくり食べる。 家族4人で、笑いながら食べていた頃を 思い出し涙が出た。 「神様、どうして俺だけを残したの・・」 「泣くな、由貴」 声のした方を見ると、薄紅色の着物を着た 人が神社の鳥居の前に立っている。 「あなたは神主・・様?」 「我はこの神社を守っている神だ。 何百年もここにずっと居る」 不思議な感覚を覚えた。口が動いてないのに 声が聞こえ、まるで目の前で話している ようだった。 「おいで、由貴。 ここに入れば、そなたが一人になる 事はない」 「・・本当に?」 「あぁ、我がずっと側にいると誓おう」 行ってはいけないと思っていても身体が 勝手に動く。 「抵抗しても無駄だ、お前は既に我のもの。 二度と逃がしはせぬ」 「二度と?」 会った事があるような口振りだった。 近づくにつれ、表情や着物が鮮明に 見えてきた。 「やっと会えた」 その言葉を聞いた途端、幼い頃の記憶が 甦る。

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