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 さっきから壱人が覆いかぶさってきてやたら重いとか、今日の下着は子供っぽいキャラクターなことなんかはこの際、考えないことにする。何故だかドキドキうるさい胸の鼓動。壱人も同じなことに少し驚いた。 「泉。好きだ」  何回目かのその台詞を口にしながら、壱人は俺のTシャツの中に手を入れてきた。最初にお腹ら辺を撫でてきて、それからその手がだんだんと上に上がってくる。 「ちょ、壱人。待っ……「待てない」  聞く耳持たずとはまさにこのことだ。壱人はそう言った口で俺の口を早急に塞ぐと、胸の辺りを撫で始めた。わざと中心のそこには触れないで、その周辺だけを手のひら全体でそっと撫でてくる。  ことの始まりは壱人の奇襲で、久しぶりに窓から俺の部屋にやってきたと思ったらいきなり好きだと告白され、真正面からきつく抱きすくめられた。俺も同じ気持ちであることを確認した壱人は、そのままベッドに俺を引き倒し、そのままベッドに縫い止められて今に至る。 「……ふっ、んんっ」  声を奪われた俺の口と鼻から漏れるのは甘だるい吐息だけで、俺は壱人のシャツをしっかりと掴んだ。この流れから行くと間違いなくエッチに持ち込まれるんだろうけど、その前に一つだけ確かめておきたいことがある。  思い切り腕を突っ張って壱人を引き剥がそうとするも、俺に覆いかぶさった壱人はびくともしない。その巨岩のような意思はどこから来るのか、俺をしっかりと組み敷いて離さない。 「……あっ」  壱人の唇が離れたその時、ごりっと何かが俺のに当たった。位置的に考えたら俺のものと同じはずなのに、その大きさと硬さに少しだけ腰が引ける。  男なら必ず生まれ持っているもの。下世話な言い方だと男の象徴。  壱人は自分の股間を俺のにぐりぐりと押し付けると、はあっと切なげな吐息を一つついた。 「泉も興奮してんだ」 「ちがっ……「違わないだろ」  俺ので勃つなんてやらしいなと耳元で囁かれ、びくりと腰が大袈裟に跳ねた。確かに壱人の言う通りで、さっきから俺はかつてない感情に苛まれている。  俺も男だし一人でやる時やAVをこっそり見る時もあるけど、そのどれにも当て嵌まらないほどの胸の高揚感が股間を熱くして、初めて感じる欲情に何もかもが熱くなる。

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