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 その全てを統括するとただ壱人が好きだということに行き当たり、壱人とならセックスをしてもいいという思春期ならではの好奇心も伴った感情に直結する。だからって本当は流されている場合じゃなくて、やる前にちゃんと確認しとかなきゃいけないんだけど。 「……んっ、んんっ」  なのに壱人に翻弄(ほんろう)された俺は快楽をその体に教え込まれるようにただ執拗(しつよう)に与えられて、恥ずかしい吐息を漏らして(あえ)ぐことしかできないでいる。 「……あ、ひっ」  やがて胸の中心の突起を人差し指の爪の先で軽く引っ掻かれて、とうとう小さく声を上げてしまった。 「泉。乳首感じるんだ」 「ばっ、あ、んんっっ」  んなこと、俺もいま初めて知ったっつの。乳首を誰かに弄られるのは、初めての経験だ。勿論、自分で弄ったことだってない。  他にも言わせてもらえば誰かと両思いになることも初めてだし、キスも、それからこうやって誰かと抱き合うことだって初めての経験だ。今までに何人もの彼女がいた壱人とは違い、俺にとっては今、自分の身に起こっていること全てが初めてのことだ。  そう思ったらちょっとだけ壱人の元カノたちに嫉妬心も沸いたけど、それ以上に壱人に感じる男としての羨望感に少し戸惑った。 「ちょ、壱人。ほんと少しだけ待てって」  手の力が僅かに緩んだ瞬間を見計らい、ようやくそう口にできた。当然のように壱人が待ってくれるはずもなく、すぐに再び口を壱人の唇で塞がれる。 「……んんっっ」  悔しいことに愛撫だけじゃなく、壱人はキスも上手かった。初めての俺が気持ちいいって感じるんだから、その実力は相当なものなんだろう。  これには壱人に対する羨望感はまるでなくて、ただただ壱人の元カノたちが羨ましかった。壱人の唇も舌も全てがとろけるように熱くて、強く舌先を吸われるだけでたまらなく感じてしまう。 「泉。腰揺れてる」  脳内深くまで犯されている感覚のなか、いきなり壱人が俺のをぎゅっと鷲掴んだ。 「……ひっ!」  ズボン越しだとは言っても強すぎるその刺激に、そんな情けない声を上げてしまう。  やばいやばいやばい。  もう心が乙女って言うかどうにでもしてって、色気のない言葉で言うとそんな投げやりな気持ちになってきた。 「……泉。いいか?」  もしかして、このまま壱人と最後までやってしまうんだろうか。その前に、どうしてもこれだけは確認しておかなきゃ。そうは思いつつも壱人から与えられる無償の快楽に、今にも流されてしまいそうになる。

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