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「……あっ!」  瞬間、思わず声が出た。擬音にするなら、つぷり。そんな感じ。ローションでぐちょぐちょに濡れているからか突っ掛かる感じも痛みもなくて、思ったよりもスムーズな侵入に気が抜ける。  例えるならば子供の頃、熱を出した時にそこから入れられた所謂、座薬みたいな感じ。ただ、それより少しだけ大きいというか質量があり、ずっと入口を塞いで体内に消えることはない。  経験はないけど、何かを入れられたというよりは何かに入口を塞がれている感覚のほうが強くて、異物感というよりも違和感がすごい。 「泉。どんな感じ?」  なんて聞かないで欲しい。壱人はきっと、これだけじゃさほど痛みもないことをよく知っているんだろう。案の定、 「まだ第一間接までだから痛みもないだろ。ほら、ゆっくりしてやるから深呼吸して」  壱人がそう言った瞬間、ぐにゅりと何とも言えない感覚でそれが更に中に入ってくる。 「――あっ、やっ」  壱人はいちいち第二間接まで入っただとかの実況をしながら、言葉通りにゆっくりしてくれたけど。壱人の中指が少しずつ、少しずつ体内に入ってくるたび、 「……あっ」  小さな声が漏れてしまう。  その声が自分のものだなんて信じたくなかった。それ以前に、自分の身に起こっている出来事に目が眩みそうだ。ベッドに(うつぶ)せて(わず)かに浮かした腰。腰の下には壱人の手が潜り込み、俺のをずっと上下に擦り上げている。  多分、挿入の痛みをそれで紛らわせてくれているんだと思う。だけど、中指一本では痛みは全く感じない。それでも、 「――あっ!」  その瞬間だけはちょっとキた。 「泉。わかるか。いま根元まで挿ったぞ」 「……やっ。あっ、うそっ」  やっぱり痛みはあまり感じない。代わりに感じるものは、さっきよりも強くなった違和感と沸き上がる排出感。  ちょっと苦しいというか、何とも言えない圧迫感とそれをそこから出してしまいたい感じ。多分、そこにある括約筋が壱人の指をそこから出そうと頑張っているんだろう。なんて冷静に考えていた次の瞬間、 「――ひあっ?!」  壱人の指が俺の中で不意に動いた。

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