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――嘘、だろ。初めてなのにイってしまった。
「あ、あ、あ、」
「……んっ」
とにかく暑いと言うよりは熱くて、自分でも驚くほどに汗をかいていた。壱人の前髪も汗にびっしょり濡れていて、前髪を伝って壱人の汗の雫が俺の背中を伝う。
イく、なんて生易しいものじゃなかった。思ったよりは冷静に状況を把握できていたとは思うが、最後ら辺は無我夢中で記憶にない。
失神するだとか頭の中が真っ白になるようなベーコンレタスな出来事はなかったが、それなりに劇的な行為の後、どうやら壱人の辞書には賢者タイムという言葉はないらしく、
「泉。抜きたくないけどいったん抜くぞ」
壱人はそう言うとゆっくりと腰を引いた。
「……んっ」
抜く時もなかを擦られて、そんな声を漏らしてしまうとか。
「……あ」
壱人のが抜けたそこから流れ出たどろりと粘つく白濁色の液体がシーツを汚したが、中に出すぞと宣言した壱人のモノにはいつの間に着けたのか、しっかりとコンドームが装着されていた。
つまりは俺のそこから流れ出たのはたっぷり過ぎるぐらい大量に使ったローションが泡立って白く濁ったもので、壱人が中に出すぞと宣言したのはコンドームの中に、で。
「はあ、マジでやばかった。あー、出た出た」
そんな馬鹿なことを言いながら手早くそれを外して入口を固結びする、その手慣れた動作が壱人のこれまでの経験値を物語っている。
「……見るか?」
しげしげとその様子を見ていたら、そんなことを言われた。いつもなら脳天チョップを食らわすところだが、好奇心に負けて手渡されたそれを恐る恐る見てみる。
「つか、どんだけ出したんだよ」
「はははっ」
……初めてだし。自分以外が出したの(精液)を見るのも。
思わず机の上のスタンドの電気に透かし、まじまじと凝視してしまった。こう見るとやらしい気分と言うより、神妙な気分になるもんなんだな。これが女の子の中に入ると、赤ん坊ができるのか。
「泉。おいで」
抱かれる側だけど賢者タイムに入っていたのに、そう言った壱人に腕を引かれた。
「……え。わ、わわっ」
再びベッドに引き倒され、ベッドに仰向きに縫い留められる。
「ちょ、壱人?」
「今度は前(正面、つまりは正常位?)からな」
いつの間にか壱人のそこには、新しいのが装着されていて。
「む、無理っ!」
「ははっ、奇遇だな。俺も無理。もう我慢なんかしてられるかっつの」
どうやら経験豊富なやつが相手だと、初めてづくしの行為でもそれを噛み締める暇もないらしい。
「――あっ」
「泉、かわい」
文字通り壱人にアンアン泣かされた俺は、それでも壱人に抱かれたことに後悔はしていないわけで。
2011/07/09/第1話完結
※第2話に続きます
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