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第15話
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「千晶さん、ここにいたんですか」
広いテラスのアジアンラタンの椅子に座り、明るくなりつつある海を眺めていた私に優しい敏也の声がかけられる。その声に振り返るよりも前に、背後から廻された両手が優しく私を抱き締めてくれた。
「もうすぐ夜が明けますね。寒くはないですか?」
「……、これくらいの風が気持ちいいよ」
私の肩先から同じように海を見つめる敏也の声が胸をじわりと温める。。
「いい匂いがする。千晶さんが起きたの、全然わからなかった。あんなに安心してぐっすり眠ったのはどれくらい振りかな」
腕の中に私を取り込み、安らかな寝息をたてる敏也の元からそっと起き出して、昨夜の名残りが体内から流れていくのを惜しく思いながらシャワーを浴びた。その私の体が纏うボディソープの香りを楽しむように、敏也がうなじに唇を這わせた。
「体、大丈夫ですか?」
「……ああ、大丈夫。随分前にヤったきりなのに、結構平気なものだな」
「『抱かれる』経験、あったんですね……。何だか、その頃の相手に妬けちゃうな」
肩に顎を乗せ、小さくため息をつく敏也に頬を擦り寄せる。少し伸び始めた髭がチクチクと当たって、思わず笑みが溢れた。
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