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花鳥風月

 例えば、  道端の隅に咲いているを雑草ととるか四季を感じさせる美ととるか  青空を自由に羽ばたく(とり)を朝寝を邪魔する(からす)ととるか  頬を撫でる世辞(せじ)というのか俗言(ぞくげん)とするか  夜の闇を照らすを明るすぎると(なげ)くか()でるのか  知識が無ければ ただ目の前から過ぎていき  知恵が無ければ 目にも止まらない  知識や知恵は 誰にも奪われる事の無い財産  成り上がりたいなら 貪欲に欲し 身につけ 学ぶのみ   熱意を手放した瞬間 偽りの欲に飲み込まれ あっという間に土左衛門(どざえもん)   さもしい人間であろうと (とうと)い身の上であろう  権力という衣が剥がれれば 一蓮托生(いちれんたくしょう)ただの人  人の形をしている今は教養が全ての財となる  金貨も 銀貨も 所詮は朽ちれば塵に返る  腹も膨れず 肥やしにもならない  醜猥な欲に左右されず 誰にも決して犯される事の無い身一つの財産  ――――――これもすべて 前世での戒行(かいぎょう)(つたな)い故の苦界  人であれば まだどうにかしようがあるものだが  人ですらなくなってしまった身の上で 蓮華の上に担がれた醜い(むくろ)  髪が落ち 皮が剥がれ 肉さえ腐って朽ちたなら  (むくろ)から目が落ち めでたい めでたい 

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