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第4話
背中に回ってる手がシャツの中に入り込んできて背骨を辿るように撫でる。
たったそれだけなのにスイッチが入ったままの俺の身体は小さく震えてしまった。
「ん……っ、は……、ん」
俺も松原の身体に触れてみる。
スーツ越しだからはっきりとはわかんないけど意外に筋肉質っぽい感じがした。
熱に浮かされた思考のまま手を下ろしていって下肢に触れる。
松原のソコは最初触れた時よりもはっきり硬くなっていて窮屈そうだ。
「……ふ……ぁ……まつ……ばら」
もうとっくに精液は咥内からなくなってる。
ちょっとだけ生臭いような気もしなくはないけど、這いまわる舌の熱さにそれさえもエロイ気分にさせられてた。
「俺も……触る……」
俺の息子は射精したにも関わらずまた勃ちあがってるけど、松原はまだ一回も出してない。
触れてもいない。
さすがに同じ男としていまの状況はきついだろうなって唇を離して上目に松原を見た。
「舐めようか?」
フェラとかありえねぇ!けど、松原だって俺の舐めてくれたし、それに濃密な性交の匂いに麻痺してる今なら出来そうな気がした。
まだ余裕を崩してない松原が俺のフェラでどう感じてくれるのかなーって興味もあるし。
「……フェラはいい」
だけど松原は背中に触れてきながら断ってきた。
「え、なんで? だってきつくねーの?」
「キツイに決まってるだろう」
「なら」
「お前を食うからいい」
「……」
は?
意味がわかんなくってポカンとしてしまう。
そんな俺を松原がデスクから下ろした。前は寛がせてたからズボンがすとんと落ちて、ボクサーパンツも膝のあたりまで下ろされた。
「後向け」
「へ?」
促されて松原に背を向けるとデスクに手をつけって言われてわけわかんねーまま手をつく。
「な、なに?」
「お前知識ないのか?」
「なんの?」
食うってなんだ。え? あれ?
妙な危機感を覚えるけどバカな俺の頭は現状をなかなか認識しねーし、男同士なんて初めてだから冷静になればここからどんな"行為"をするかわかるはずだけど、いまの俺にはわからなかった。
失笑する松原の声が響く。同時に鍵つきの引き出しからなにかのボトルを取り出していた。
それを肩越しに振り返って見つめる。
「なに、それ」
「ローション」
「……は!? なんでそんなもん!」
「備えあれば憂いなし、だろ?」
「お前、学校にそんなもん置いておくなよなー! だいたい男子校で備えってさー! あ、望月先生とも使ったのか!?」
ギャーギャー喋ってる俺をスルーして松原はボトルからキャップを外して。
「でもローションなんてベタベタするし、こんなところで使うに―――ひゃっ!!」
いきなり尻にかけられた。
「な、な、なに!?」
「向井、声でかいって言ってるだろ。少しトーン抑えろ」
「で、でも、っていうか、え?!」
呆れたように言いながら松原の指が、ローションで濡らしたらしい指が、尻を撫でてその間に入ってくる。
「ま、松原!!」
「なんだ」
「あ、あの、そこ……」
排泄器官でしかないはずの後孔に指が触れてきた。
「アナル、だろ?」
「なんで」
「なんで―――? だから言ったろ?」
ほんの少しだけ指先がめり込んで、身体が硬直した。
松原が俺の背にのしかかってきて耳に息が吹きかかる。
「―――お前を、食うって」
さっきまでとは違う、少し低くなった声が甘く囁いて、その唇が俺の耳朶を食んで舌が弄ってくる。
ぞくり、って背筋が自分でもわからない感情で、震えた。
「ッ、あ」
ローションの滑りを借りて指がゆっくりと入ってくる。
すっげー圧迫感と違和感に息が詰まった。
「ちょ、松原っ……む、むりっ」
食うっていう意味がようやくわかったけど―――どー考えても無理だろ!
アナルセックスするってことだよな?!
しかも俺が挿れられるほう?!
「無理無理っ! 痛いって!!」
「まだ第一関節しか挿ってないぞ、我慢しろ」
「我慢しろって、んな簡単に……っん、ぁっ……苦しっ」
「力抜けよ」
「むりっ!」
お前なぁ、と呆れる声が耳元で響くけど、無理は無理!
指ちょっとしか挿ってないっていうけどすっげぇ苦しい。
こんなとこにどうやって挿れるんだよ!
「―――捺」
パニクってたら耳の後ろを舌でねっとりとなぶられて、艶っぽい声が響いた。
どきん、ってびっくりして心臓が跳ねる。
「俺にこれ以上我慢しろっていうのか?」
言いながら俺の尻に腰を押し付けてくる。
ズボン越しだけどはっきりと主張してる硬さが肌に伝わってきて、また心臓が跳ねた。
「だ、だって……俺、男だし」
「だからココ使うんだろ?」
「使ったことねーもん!」
「ちゃんとほぐすから心配するな」
「そういう問題じゃねーよ! 絶対痛い!」
「俺がスるんだ、気持ちいいに決まってるだろ」
「……」
なにコイツ! この俺様ヤロー!!
「捺」
なんで俺の名前まで知ってんのか、また囁かれながら少し振り向かされた。
舌が耳孔をなぞってくる。
舌先が孔の中入って、熱い吐息とともに濡れた舌がくすぐってくる。
「んっ」
指はまだ挿入されたまま、もう片方の手は俺の胸のあたりで拘束するように抱きしめてたけど、その手も動き出す。
胸の先端摘ままれて、耳朶甘噛みされて、耳孔犯されて。
「……っ……ぁ」
やっぱりコイツいろいろ上手いって思っちまう。
指挿れられたショックで萎えてた俺の息子がほんの少しだけど反応して、後孔の圧迫感は変わらないけど身体の芯が疼いてくる。
「ん……は……や、だ、松原……っ」
なんかこのまま流されちゃいそうで不安になって縋るように名前を呼んでた。
「こっち向け」
小さく笑う声が響いて、俺の胸を弄ってた指が顎にかかる。
肩越しに振り返ったらキスされて―――夢中になってしまう。
ヤバい、俺、松原のキスに弱いのかもしんない。
体勢的には苦しいけど舌絡まったら離れられなくって、俺から積極的に舌動かしてた。
「……っ、ふ……ン、ッ」
キスの熱に浮かされてたら指が動きだして少しづつ奥へと進んでくる。
やっぱりどうやっても消えない圧迫感にキスを続けられなくて唇離して荒く息を吐いた。
「ゆっくり深呼吸しろ」
宥めるように珍しく優しく声をかけられる。
「……苦……し」
言われた通りにしようとするけどなかなかうまくいかない。
どうしても身体が強張ったままでいると指が突然引きぬかれた。
いっきに緊張が解けて思わずほっと溜息をつく。
諦めたのかな?
って動けないまま後ろを見るとカチャカチャとベルトを外す音。
「……」
そして衣擦れの音がして……、
「……お、おい、松原?」
熱くて硬いものが尻に押し付けられた。
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