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第7話
「心配すんな。ここでするのって案外病み付きになるらしいぞ? さっきも身体の反応は良かったし、秀典ならすぐ慣れるって」
「でも……」
「物は試しって言うだろ」
言いながら、濡れ濡れの尻穴にペニスを押し付けてみる。やはりアナル処女だ。括約筋の抵抗は感じる。
「うぐぅぅぅああ……き、つっ……やっぱり……無理だっ……入らないぃっ……」
「もう全部入ってるのに?」
「え……嘘……っ」
「本当」
根元まで深々と入ってしまっているものを、少し腰を揺する。
「ぁ、あっ! やめ……ぁ……本当に僕の中にいるのがわかる……怖い……!」
「わかってる。もう少しこのままでいよう」
緊張と未知の恐怖からか、秀典のペニスは少し萎えてしまっていた。ローションをペニスにも塗りたくり、亀頭を撫でてやる。
「んっ……んんっ!」
「こうすれば、少しは怖くなくなるだろ?」
秀典は今にも半べそをかきそうな子供っぽく呻きながら、蓮見の背に回した両手で爪を立ててきた。
痛いとか嫌だとか気持ち悪いとかじゃなく、真っ先に怖いって……なんだかその点は年相応だ。よしよしと呟きながら、快楽だけを送り込むように秀典のペニスを扱く。
「っは、ぁ……ど、どうして、だ……あんなものを入れられているのにっ、お前に触られたりっ、舐められたりすると……身体が……おかしく……」
「それちゃんと感じてんだよ」
それは違う、だとか叫び出したかったらしい。でも事実、ペニスは勃起してしまっていて、身体は熱く汗ばんでいて……それが男として悦楽を感じている現象だとは、秀典も客観的に思うようだ。
「僕……感じている……? 初めてで……」
「うん。すごく可愛い。そそられる」
「そう……なのか……感じてる……お、男たるものこんな反応をしてしまうのは仕方ない……そう、だな?」
「そうそう」
秀典の声音はどこか縋るような感じだ。自分だけがおかしいんじゃないと、認知されていない父親の咎を誰かに赦してほしい、慰めてほしいといったような。
「大丈夫だ、秀典。俺が傍にいるから。誰が相手だろうがボッコボコに……ああ、いや、ちゃんと話つけてやるから」
「……恭一」
ぽつり、と下の名前で呼ばれた。そうだ、フルネームは知られていたけど、こんな風に呼ばれるのは初めてだ。
いささかびっくりしていると、秀典は俯き加減で泣き出した。
「僕、もう嫌だ……誰かに甘えたい……守ってもらいたい……なのに、僕はいつも誰かを助ける側で……。恭一っ……僕の全部を受け止めてくれ……僕を守って……」
やっと思いの丈を吐き出した秀典は声を震わせ、時々詰まらせる様は子供のようだった。普段泣くことだってないのかも。
頬を伝う涙を、長く突き出した舌で全て舐め取ってやる。
「絶対守る。何かあったらいつでもどこでもすぐ飛んでく。それで俺の本気が伝わるなら、何年でも、一生でもお前に尽くすよ」
「…………もうわかってる」
今度は、またいつもの秀典に戻った。鼻を啜って、ぎこちない笑みを見せてくれる。凛々しい印象だったが、笑うと目がなくなってしまうくらい垂れる様にギャップがあった。
「お前の本気、わかったから……だから……も、もっとしてくれ……今日は、嫌なことを忘れてしまうくらい……気持ちの良いことを……」
今、なんて言った? 信じられない言葉にゴクリと唾を呑み込む。こんな大真面目なエロ台詞を言われて我慢できるほど理性的ではない。
愛しい愛しい秀典。死ぬほど感じさせてやる。嫌なことだけ忘れて、蓮見恭一という存在をその身にしっかり刻み込んで、ずっと俺のことを考えるようにしてやりたい。
再びペニスを扱きながら、獣のようにガツガツ腰の抽送を始めるのであった。
乱れ狂う秀典を堪能し、我に返った蓮見はぼんやり思う。
それにしても、うちの組員を弁護してくれるってのに、三國先生にばれたらなんて弁解しよう……。
未成年のあなたの息子に手を出しました。すみません。でも結婚したいくらいです本気です。
土下座しても普通に訴えられるだけだな。ジジイの名を出しても相手が相手なんだから屈しないだろうし、長官を言いくるめられれば何とかなるかもしれないが、そこはまあ……あんまり権力を振りかざしすぎても、俺の信用をなくす。せめて秀典が立派に自立するまでばれないことを祈ろう。
お互いシャワーを浴びて帰り支度をしていると、秀典がふと、蓮見の目元を指差して言った。
「ところで、お前のそのサングラス……どうして夜もしているんだ? 言いにくいことなら悪いのだが、例えば目の病だとか……」
「ん? ああこれ、ただのお洒落。良いだろ」
「ダッッッサ」
初めての秀典の飾らない反応であった。
◆
「……しかし、一線を越えてしまった以上は仕方ないな。わかった、僕もお前とのことは真剣に考えてやる。そうじゃなきゃ不誠実極まりないからな」
「おおっ、なら婚約指輪買いに行こ、指輪。秀典にはエルメスが似合うと思うな」
「それ、お前の収入でだろうな?」
「この年にしてはまあまあ持ってる自負はあるけど……大丈夫大丈夫、足りないぶんは何でも買ってくれるジジイに頭下げるから」
「……やっぱりお前と付き合うのはやめるか」
「なんで!?」
「まずはそれを理解したら……だな」
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