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第6話

 尻穴とその周辺をヌルヌルにされて、マッサージをしつつ指をつぷり、と入れてみる。 「痛い?」 「……いや……でも……な、なんだか変な感じだ」  苦痛を感じていないことを確認すると、内側にもローションを塗り付けるように動かしていく。  何なら秀典の弱いところを見つけられればいいな、と指を曲げて、ペニスの根元付近を探る。 「はぁっ……なんだこれは……ゴツゴツ固くて太い指が僕の中を弄ってるのがわかる……屈辱だ……」  とてもじゃないがアナルをほじくられているのを見たくないようで、秀典は両手で目を覆っている。でもその方が、良くも悪くも想像力を掻き立てることを、秀典は知らない。 「んっ……ん、んんんっ!!」  指一本では余裕そうだったので、二本に増やしてみると、秀典は驚いて指を締め付けた。  まだ肛内で感じている訳ではないだろうけど、どうやら括約筋を通り越した浅い部分が弱いのかなと、蓮見は思った。 「大丈夫か?」 「ん……びっくり、しただけ……。あ、あぁ、僕の中に指が、また増え……っ」 「チンポ入るんだからさ、これぐらい平気だよ。それに毎日死ぬほどヤってない以上、元に戻るし」 「そういう……もの、なのか……?」  性に疎い秀典は、今ばかりは蓮見の言うことを信じるしかない。  ゆっくりと指を動かされると、ぴくり、ぴくりと肢体を跳ねさせる。  蓮見は前戯には時間をかける方で、指がふやけるほど尻を弄っていた。それはもう、しつこすぎて相手から指摘されるほどだ。 「んっ……く……まだ、なのか……?」 「え? もう入れていい? 処女だからもうちょい……」 「お前が触りたいだけだろうっ!? す、するなら……とっととしろっ」  もはや諦めの境地の秀典の言葉に甘えて、下半身をくつろげる。ようやく欲求不満になっていたものがお目見えだ。そうして片手を勃起に添えていると、秀典はハッとする。 「男なら避妊具を使え! 保健体育で習わなかったのか!?」 「お、おう。そういえばそうだった」  クラブでは生中出しばかりだったせいか、すっかり忘れていた。けれど秀典のことは傷付けたくない。全部彼の言う通りに尻に敷かれても構わない。  慌ててベッドサイドのゴムを装着していると、 「この僕が婚前交渉なんて……しかも抱かれる側……」  ここまで来ても秀典はぶつぶつ文句を言っていた。今から初体験をするとは思えないくらい往生際が悪くて、それも可愛いというものだ。 「今すぐこの場で婚約すれば良いんじゃねえの? あー俺、一応婚約者いるけど、あれジジイが勝手に決めた縁談だからいつ破談にしようか迷ってて。でも恩人の子だって言うならジジイも何とか納得してくれるだろ」 「な……! ふ、ふ、二股!? ありえない……」  婚約者と言うのは、正確には蓮見が幼い時に勝手に決められたもので、相手の気持ちは知らないがほとんど形を成していない。  蓮見の祖父とは兄弟分である、現若頭の孫娘がそうだ。蓮見とは年が近く、どちらかと言うと妹にしか思えないし、交際どころか最近は話もしていない。だが若頭の箱入り孫娘との縁談をそんな理由で蹴るのはちょっとまずい。  だから別に二股とかそういうんじゃない……つもりだ。何なら、クラブの人間なんかはただの便所の意識……一般人だって結婚前の風俗遊びくらいは許される論調なので、本命は秀典だけ。  そう思えば不貞行為でも何でもない。 「俺はお前しか見えてないし、これからもきっとそうだ」 「っ……自分がどれだけ滑稽な男だとは思わないのか、お前はっ」  真剣に視線を注ぐと、秀典は根負けした。  もしや女の影を匂わせて、嫉妬したか? そうなら彼女には悪いがちょっと嬉しい。  しつこすぎるくらいにほぐしたせいか、秀典のアナルは初物だと言うのにかなり柔らかくなっていた。これなら難なく入ると思う。  ローションを注ぎ足していると、秀典の顔は曇った。やっぱり、排泄器官だとしか思っていなかった場所にペニスが入るとは秀典の常識にはない。蓮見の勃起を凝視しては、小さくため息をついている。

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