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第15話 王立学園へ入学することになりました。

2ー4 王立学園へ入学することになりました。 俺は、薄暗い部屋の椅子に腰かけて何度目かの溜め息を漏らした。 「ほう、また、溜め息かな?レンタロウ」 グーリスじいちゃんがほっほっ、と笑った。 「まるで、恋する者のようじゃな」 「恋?」 俺は、慌てて否定した。 「んなわけねぇし!」 「それはそうと、レンタロウ」 グーリスじいちゃんが俺に言った。 「そろそろお主に王立学園に入学してもらおおうかと思うのだが」 不意に言われて、俺は、驚いてお茶のカップを取り落としそうになっていた。 「王立学園?」 それは、午後のお茶をグーリスじいちゃんと飲んでいた時のことだった。 イーサンは、このときばかりは席を外していた。 グーリスじいちゃんは、俺に話した。 「お主は、将来、王妃となる身。国のことや、世界のことをいづれは学ばねばならん」 「嫌だ」 俺は、じいちゃんに応じた。 俺の返事をきいて俺に訊ねた。 「なぜだ?レンタロウ。なぜ、お主は、王妃となることを拒むのだ?」 「それは」 俺は、自分に問いかけた。 なぜ、俺は、王妃となることを拒んでいるのか? それは、俺が男だからだ。 俺には、どんな世界であれ男を受け入れることはできそうにない。 俺は、グーリスじいちゃんにそう答えた。 じいちゃんは、俺に優しく微笑んだ。 「だが、人は、変わるものだ。サブロウタも最初は、王を受け入れることを拒んでいたそうだ。だが、やがては、王を受け入れて私の祖先が生まれた」 「俺は、あんたの祖先とは違う!」 「まあ、何にせよ、レンタロウよ、お主には、この世界について学ぶことが必要だろう」 グーリスじいちゃんは、俺ににやりと笑いかけた。 「どんな未来を選ぼうとも、学ぶことは必要だからな。レンタロウよ、お主は、自分のためにも王立学園へいくがいい」 そうして、俺は、王立学園へ入学することになった。 とはいえ、神子に乳をやるという役目があることに変わりはない。 俺は、神殿から、王都にある学園へと通うこととなった。 もちろん、護衛のためにもイーサンは、同行するらしい。 だが、考えてみればこれは、悪い話ではなかった。 同じ年頃の連中と、この世界について学ぶことは、俺の力になることだろう。 違う未来を切り開くためにも、それは、必要なことかもしれない、と俺は、納得して学園への入学を決めたのだった。

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