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第16話 勉強始めました。
2ー5 勉強始めました。
俺は、王立学園に入学するための試験を受けることになった。
といっても、俺は、この世界に召喚されたばかりだからな。
少し、試験に備えて勉強をすることになった。
丁度、後半年ほど次の入学試験まで時間があったので、グーリスじいちゃんは、それまで俺に家庭教師をつけることにした。
「もと皇太子様の教師だった者だから、間違いはなかろう」
そう、グーリスじいちゃんは言っていた。
俺は、やる気満々だった。
勉強は好きじゃないが、とにかく神殿から出たかったし、それに将来、自立して暮らしていきたいと思っているからな。
学園に入ることは、俺にとっては、自立への希望の道だった。
なんとかして、このままずるずるとここの連中の思い通りにされないで、俺の自由を確保したかった。
俺は、絶対に男の嫁になどなりたくはない。
学園に入学してそこで優秀な成績をおさめて、できればいろんな人脈を作って、そして、学園を卒業後には、神殿から独立するという計画だった。
俺が引き合わされた皇太子の家庭教師とやらは、着飾ったカッパみたいな冴えない男だった。
でぶっちょで、頭の上にかすかに薄く金髪の羽毛のような物が残されている傲慢そうな男だった。
「初めまして、聖母様。 私は、アルフレッド・ガーファスと申します。お会いできて、光栄でございます。これから、しばらくの間、よろしくお願いいたします」
そう言うと奴は、俺の手をとって口づけしようとしたので、俺は、慌てて手を引っ込めた。
奴は、とても心外だという様な表情を浮かべたが、すぐににっこりと笑顔を張り付けると俺の前に一冊の本を置いた。
『初めてのいろは』
なんだ、これ?
俺は、その本を開いた。
それは、この世界の文字のいろはみたいなものがわかりやすく書かれた絵本のような本だった。
俺は、黙って本を閉じた。
「どうしましたか?聖母様。どこか、わかりにくいところがありましたか?」
ガーファスの野郎は、猫なで声で言うと俺の体に触れてきた。
気色悪い奴だな。
俺は、我慢していた。
ガーファスは、俺の側に体を寄せて囁いた。
「別に、字が読めなくても何も恥ずかしがることなどございませんよ、聖母様。あなたは、ついこの間、未開の地よりこの世界に召喚されたばかりの方なのですから」
そこで、俺は、切れた。
「あんた、俺をバカにしているのか? 」
俺は、ギロリと奴を睨み付けた。奴は、きょとんとした顔をして、俺をぼぅっとして見つめていた。
俺は、声を荒げた。
「俺は、ガキじゃねぇんだよ!」
「はい?」
まだ、理解していないらしいガーファスに俺は、その幼児用の絵本を投げつけた。
すると、ガーファスは、何やら不適切な言葉を叫びながら部屋から逃げ出していった。
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