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第18話 精霊紋

2ー7 精霊紋 俺は、椅子から立ち上がると部屋の中をうろうろと歩いた。 魔法学の初歩とか言ってたよな? なんで? 他の本は、なんだか知らないが、すげえ簡単なのに、魔法学だけ文字も読めないなんて、変じゃね? 別の言葉で書かれているわけでもなさげなのに。 というか、ここの言葉って日本語じゃないよな? なんで、俺、読めるわけ? そんなことを悶々と考えていると、頭がぐるぐるなってきた。 ヤバい! 俺は、いったん落ち着くために立ったまま深呼吸をした。 少し落ち着いてきた頃に、イーサンが戻ってきた。 俺は、すがるようにイーサンを見つめていた。 イーサンは、俺に椅子に腰かけるようにと促すと、俺の前に一枚の紙をおいて俺にナイフを突きつけた。 はい? 俺は、その鋭い切っ先を見つめて息を飲んだ。 何? このシュチュエーション。 「失礼します」 イーサンは、俺の手をとると俺の指先にナイフの先を押し付けて少し、傷つけた。 「っ!」 俺は、鋭い痛みに顔を歪めて手をひこうとしたが、イーサンは、俺の手を離さなかった。 血が指の先から流れ落ちて、紙が赤く染まっていく。 「何、するんだよ!」 「しっ!お静かに」 イーサンがぴしっと俺に言った。 俺はイーサンに手を掴まれたまま口を閉じた。 赤く染まっていく紙の上に、何かの紋章が浮かび上がってくる。 「何、これ?」 「これは、あなたの精霊紋です」 「精霊紋?」 イーサンは俺の指先を口に含んで舐めると、薬を塗って布をまいてくれてから、俺に説明を始めた。 「この世界の魔法は、主に、精霊の力を使役する精霊魔法なのです。精霊には、風、火、水、土、光、闇の6種類があり、それぞれが異なる紋章をもっています」 なんでもイーサンによると、人はみな、使役できる精霊の持つ紋章と同じ紋章をその血の中に持っているのだという。 そして、その紋章を持つ精霊と契約して初めて魔法が使えるようになるのだという。 精霊との契約は、この世界の成人のとき、つまり、15才のときに普通はされるものなのらしいが、俺は、この世界に来たばかりでまだ、契約がなされていなかったのだという。 ちなみに、俺の持つ紋章は、光の紋章なのだという。 イーサンが少し、難しそうな表情を浮かべたので、俺は、訊ねた。 「どうしたんだよ?」 「いえ」 イーサンが答えた。 「光の精霊との契約は、ちょっとやっかいで。まさか、聖母であるあなたが、まだ、精霊を持たないとは思っていなかったものですから」 「そんなもんがいることも知らなかったし!」 俺が言うと、イーサンが頷いた。 「わかりました。あなたには、まず、光の精霊と契約を結んでいただかなくてはならないようですね、レン様」

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