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第35話 媚薬ってマジですか?
4ー2 媚薬ってマジですか?
「あいつか!」
アメリは、ちっと舌打ちした。
「まさかの皇太子派からとはな」
うん?
俺は、アメリに訊ねた。
「どういうことだ?」
「つまり」
アメリは、答えた。
「皇太子派は、レンに王妃になって欲しくないと思っているということだよ」
「マジで?」
俺は、小さくガッツポーズをした。
レイテがどう思っていようとも周囲の連中が反対してるなら仕方がないよな?
やったな、俺!
天は、俺を見放してないぞ!
「何?王妃になれないことがそんなに嬉しいの?レン」
アメリが俺の隣に座ると俺を上目使いに見上げた。
俺は、アメリに思わず笑顔になりそうなのを隠しながら応じた。
「そんなわけないじゃないか。だけどやはり人には、分相応というものがあるんだろう?俺のような庶民には、王妃はつとまらんだろう」
「ふーん」
アメリが興味深げに俺を見つめた。
「でも、殺されかけたっていうのに心が広いんだね、レンは」
「いや、アメリのおかげで未遂ですんだんだし」
俺が言うとギルバートが慌てて言った。
「違います!レンタロウ様を殺そうとするなど、とんでもない!」
「嘘をつくな!現にここに証拠の毒入りのお茶が」
「いえ、その中に入っているのは、その・・」
ギルバートは、微かに頬を赤らめた。
「媚薬、でございます」
「媚薬?」
アメリがギルバートに訊ねた。
「どういうことだ?」
「実は・・」
ギルバートが俺たちに話したことによると、国の歴史的な流れからして次の国王となるのは、聖母である俺を手に入れた者なのだそうだ。
今、この国の王位継承権第1位は、レイテだが、実は、レイテには、腹違いの兄がいて、その人物を推すものも多いのだという。
レイテの兄であるその人物は、ルーシェ・リム・リーゼンベルグという名で、レイテより、8歳も年上らしいのだが、生まれたときから王室からは、遠ざかっていた。
「ルーシェ様は、お母上が身分が低い故に王室からは離れて暮らされている方ですが、家臣たちからの人望もあり、何より、非常に優秀な方なのです。そのため、在野に捨て置くのは惜しいと、ルーシェ様を次の王にと推す方たちは多いのでございます」
ギルバートは、なぜか、熱く語り始めた。
「何より、ルーシェ様は、下々の者にもお優しく、聡明な方なのです。それで、その、ルーシェ様や、ルーシェ様を推す一派の方々を押さえ込むためにも、ケイラス様は、レンタロウ様のことをどうしても手に入れなければならなかったのです」
「それで、レンに媚薬、か?」
「はい」
ギルバートは、頷いた。
「レンタロウ様には申し訳がないのですが、ケイラス様の命でレンタロウ様に媚薬を飲ませてその上で、レイテ様を閨へと手引きすることになっておりました」
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