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第53話 アメリ、消滅?

5ー9 アメリ、消滅? 「我々は、神子に、今は、お身変わりの時ではないとお諭し申し上げたのだが、次の深淵の時までにもう時がないと仰ってな」 「深淵の時?」 俺が問うと、グーリスしぃちゃんは、説明してくれた。 「100年に1度、この世界を滅ぼす偉大なる怪物であるリヴァイアサンの封印を封じ直す儀式がある。それが深淵の時、じゃ。それは、あと20年後に迫っておる。神子は、その時に己の力を最強の状態にするために、今、お身変わりを果たされたのだ」 「あの、そのお身変わりって、なんだよ?」 俺は、もう一度、グーリスじいちゃんに訊ねた。 じいちゃんは、低く唸ると話始めた。 「神子は、数十年に1度、自らを滅し、転生の儀式を行われるのだ。つまりは、生まれ変わられるということだ」 「ってことは、アメリは、本物の神子の生まれ変わりなわけか?」 「いや、違う」 グーリスじぃちゃんは、俺の言葉を否定した。 「生まれ変わりなどではない。神子は・・アメリ様は、お身変わりを果たされた神子そのものなんじゃ」 はい? ということは、アメリは、見た目は子供でも、中身は大人なわけですか? 俺は、俺を自分のものにすることが叶わずに泣いていたアメリを思い出していた。 『早く、大人になりたい』 そう言って、アメリは、泣いていた。 あれは、どういうこと? 「アメリは・・神子は、子供のふりをしてるわけ?」 俺は、グーリスじいちゃんにきいたが、じいちゃんは、頭を振った。 「いや、まだ神子は、完全には目覚められてはおらぬ。子供の部分と本来の神子であった頃の記憶とがせめぎあっているのだ。とても、微妙で不安定な時期なんじゃ」 俺は、グーリスじいちゃんの言葉にはっと顔をあげた。 アメリは、今、神殿の神子の間に閉じこもっていた。 もう3日も 乳も飲まずに、それどころか俺に会いにもこないで部屋にこもっているのだ。 「アメリ様は、お主を守ることができなかったことにショックを受けておられる」 グーリスじいちゃんが溜め息をついた。 「アメリ様がこの調子では、世界の均衡が守られなくなるやもしれん。それどころか、アメリ様の存在自体も危ういかもしれん。このまま、あのお方が自分を否定し続けるようなことがあればあの方の存在が消滅してしまうかもしれん」 なんですと?

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