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第78話 一触即発?

7ー10 一触即発? 俺たちがワァワァ言ってるとイーサンとアメリがやってきた。 「どうしましたか?レン様」 「なんだ、お前は?」 アメリが飛んできて俺と精霊王の間に割り込んでくると俺たちを引き離した。 「なんで、ここにお前がいる?」 「我々の花嫁のためにわざわざ訪れたのだ。お前たちには、関係ない」 「もしかして、あの方も来られるのですか?」 イーサンが聞くと奴は応じた。 「もちろんだ。我々は2人で1人だからな」 「本当か?」 イーサンが舌打ちした。 「こんな町中にあの方が現れたりしたら大騒ぎになるぞ!」 「それなら大丈夫だ。我々とてもTPOは、わきまえておるわ」 精霊王がきっぱりとイーサンに言ったとき、ギルバートが慌てて裏口から駆け込んできた。 「裏庭に、ど、ドラゴンが!」 「なんだって?」 「ああ、大丈夫、あれは、大人しいからな」 精霊王がにっこりと笑ったのをイーサンとアメリが冷ややかに見つめていた。 俺は、精霊王に訊ねた。 「ドラゴンって?」 「ああ、私の移動用のものだ。気にするな」 移動用のドラゴンって、ファンタジーだなぁ。 俺は、感心していた。 だが、事態は、そんな単純なことではなかった。 今度は、レイテが玄関から叫ぶ声がした。 「兄上、アメリ殿!来てください!魔物の群れがっ!」 はい? 俺は、玄関の扉を開いて中を覗いているレイテに信じられないものを見るような目を向けた。 魔物の群れですと? 俺たちは、玄関へと走った。 扉を開いて空を見ると、そこには陽光を遮る翼を持った禍々しい生き物たちが群れなして俺の家を目指して飛んでくるのが見えた。 「レイテ様!」 馬に乗った騎士の一団が家の前に馳せ参じたのが見えた。 レイテが緊張した笑顔を見せる。 「おお!来てくれたか、フィル!」 騎士たちは、俺の家を囲んで配置された。 レイテは、手早く戦の準備を整えると、俺に向かって叫んだ。 「レンタロウ、お前のことは、我々が守る!はやく、奥へ!」 「さ、レンタロウ様、こちらへ!」 ギルバートが俺の腕を掴んだ。 何? この展開は。 だが 。 空を覆う魔物の群れは、攻撃を仕掛けてはこなかった。 中から、1人の魔物がふわりと地上へ降臨すると俺に向かって手にしていた赤いバラの花らしい花束を捧げ持って微笑んだ。 「 レンタロウ、久しいな」 騎士たちにどよめきが走る。 俺は、花束を捧げられて言葉を失っていた。 「どうした?レンタロウ」 「どうしたもこうしたもないだろう、兄上よ」 俺の背後から現れた光の精霊王が呆れたように言った。 「このような場所に部下たちを連れてくるとは、不粋なことを」 「ああ?」 魔王さまは、周囲を見回してははっと笑った。 「いや、すまんな、驚かせてしまったか」 いや。 俺は、びびっていた。 驚かせたどころじゃねぇし。 下手したら、戦争ですよ、戦争!

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