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25.鬼も会議をするみたい

 今日は長に独り占めされるという。 「今日はダメだ。つーかよ、なんで俺が堪能する前にてめえらに貸してやらなきゃなんねえんだっ!?」  寝室の外で長が鬼たちに言っているらしい声が聞こえる。長は僕を他の鬼に抱かせたくないと言い出し、森中の鬼を集めたらしかった。  それに対して鬼たちが文句を言っているのが聞こえた。 「天使は俺たちの共有財産じゃねえか!」 「それは小屋の奴らだけで十分だろっ! いいか、嫁いできたのは俺の嫁だ! 世話する奴以外には抱かせねえっ」  僕の世話をする鬼には抱かせるんだ? と首を傾げた。鬼の基準というものがよくわからないけどそういうものらしい。  襖の向こうで話されていることはすべて筒抜けだ。僕には刺激が強すぎるかもしれないとリンドルに抱きしめられている。万が一僕に聞かせたくないことがあればリンドルが耳を塞ぐらしい。なんか過保護だよね。  それにしても頻繁に聞こえてくる「小屋」っていったいなんだろう? 僕の他にも天使がいるようなことは聞いているけどまだ一度も顔を合わせてはいない。ただ、そういうものなのだと言われてしまえばそうなのかと引き下がるしかなかった。積極的に他の天使に関わりたいと思っているわけでもないからそれでいいのだろう。 「じゃあ俺も世話したいですね」  他の鬼が口を開いた。 「てめえは一番ダメだろーが」 「何故?」 「精を出さねえくせに愛液と乳だけひたすらに飲んでくらしいじゃねーか」 「ちゃんと抱いていますよ」 「たまにだろ。天使に精を与えられない奴は小屋にも入るんじゃねえ」 「……おまんこが好み通りかなんて味わってみなければわからないじゃないですか」 「だったら自慰でもしてろ」 「はーああ……」  なんか聞いてるといろんな鬼がいるみたいだ。僕たち人からするとただただ恐ろしい存在だった鬼が、人とあまり変わらないのだと知って驚いている。でもそうじゃなきゃ鬼の花嫁になるなんて話は出なかっただろう。僕は頭が悪いなぁとまた少し落ち込んだ。 「なんとも変わった鬼がいるものですね」 「うん、そうみたいだね……」  リンドルが感心したように言う。僕もそれに同意した。鬼ってただ人を襲って奪う魔物だと思っていたけど、そうではないようだった。 「はい! 俺にも天使さまの世話をさせてください!」 「てめえは小屋のでも抱き潰してろ!」 「そんな~。かわいいお嫁さんあんあん言わせたいですよ~」  ああでもないこうでもないと話はなかなか進まないみたいだった。 「いっそのことこうしたらどうでしょう?」  僕は首は傾げた。多分この声はカヤテじゃないかな。 「ああ?」 「昼間、天使さまを抱いている際の見学は自由というように」 「あああ?」 「そうすればどれだけ丁寧にかわいがらなければいけないかわかるでしょう? もちろん見学中は声をかけるのは禁止です。自慰はかまいませんが乱入もダメ。抱かれてあられもなく感じている天使さまを見て、本気で大切にしたいと考える者だけにお世話をさせればいいと思います。あ、もちろん私は天使さまのお世話をしますよ~。とってもかわいく啼くんですよね~」  カヤテが言いたい放題いっているのを聞いて、僕はリンドルの胸に顔を埋めた。こうやって自分の痴態を語られてしまうなんてもうどうしたらいいのかわからない。 「……カヤテ殿もやはり鬼ですね。私ではあんなこと思いつきません」 「そう、なんだ……」 「……んなことしたら世話係が増えちまうだろーがっ!」 「私とリンドル氏以外は交代制にすればいいんですよ。天使さまのお世話なんですから、最低でも四人は必要でしょう」 「……その四人の根拠はなんなんだ」 「そんなもの! かわいい唇と、かわいい乳首と、かわいいちんちんと、かわいいおまんこを同時にかわいがる為の人数に決まってるじゃないですかっ!」 「……えええええ……」  カヤテがヘンだ。しかも語彙がひどい。かわいいしか言ってない。 「確かにみなで愛撫すればウイ様はもっともっとかわいく敏感になるでしょう。たくさんの者たちに愛されれば愛されるほど天使は更にかわいく、愛らしくなるのです。カヤテ殿はなんと素晴らしい提案をされるのか」  リンドルもヘンだった。なんか居心地が悪くて僕はリンドルに抱きついた。 「てめーはあほかあっ!」 「あほでもかまいませんよっ! 天使さまのおっぱい飲みたいじゃないですか! その為にはいっぱい愛してあげないといけません。私は天使さまのおっぱいを思う存分飲みたいです!」  おっぱいって、おっぱいって……。  収拾がつかなくなっていたみたいだけど、昼食後から夕食前までは見学をさせることになったらしい。恥ずかしいから勘弁してほしいと思ったけど、しぶしぶとはいえ長が決めたことだからしょうがなかった。さっそく今日から昼食後は鬼が見学に来ることになったそうで、僕は更にリンドルにぎゅうぎゅう抱きついた。  想像しただけで恥ずかしい。  見知らぬ鬼に見られながらえっちされたら、僕はどうなってしまうんだろう。  何故か尻穴がきゅうん、と収縮した。

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