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34.やっぱり触れられてしまった
大きな川を見に連れてきてもらえて、長の膝の上でのんびり過ごさせてもらったのだけどそれだけでは終わらなかった。
長のあぐらの上に、背中を預けるようにして座らせられていた。長はそんな僕を向かい合わせにし、どうしたのかな? と思っている間に身体を持ち上げてしまった。
「わぁっ……!」
長の顔が目の前にきて、僕は慌てて長の首に手を回して捕まった。至近距離に長のでっかくて怖い顔がある。でもその目が嬉しそうに細められたから、僕も嬉しくなった。
ちゅ……と唇に長の唇が触れて、一気に胸が甘くなる。
「んっ……」
そのまま口づけは深くなった。僕は長の首に捕まったまま、口腔内を舐められたり、舌を舐められたり絡め取られたりした。
くちゅ、ちゅくと何度も濡れた音がするのがいたたまれない。外なのに、とか、長の発情した匂いとかで興奮してしまう。長に身体を支えられているから倒れたりはしないけど、キスのおかげで首の後ろが痺れて身体に甘さが広がっていく。与えられる甘さに身体が震えた。
「んっ、んっ……!」
口づけだけでこんなに甘くなってしまうなんて、これ以上何かされたらどうなってしまうのだろう。
「んっ、はぁ……」
「喉が渇いたな」
僕の唾液を飲んだ長がそんなことを言った。
「あ、あの水筒、に……」
「違う」
長はそう言ったかと思うと僕のズボンの中に手を入れた。
「ああっ……!?」
下着は履かされていないからそのまま僕自身をくにくにと揉まれてしまう。甘い口づけで少し勃ち上がってきた僕自身は、直接の刺激にすぐ硬くなってしまった。
「あっ、旦那、さまぁっ……」
「イキそうになったら言え。蜜を飲ませろ」
「あぁんっ、そん、なぁっ……!」
でも長に逆らうことはできなくて、長も僕の反応を見ながら僕自身を刺激していたから、すぐにイキそうになってしまった。
「旦那、さま……イク、かも……あぁんっ……!?」
長は僕のズボンを取り去ると、それを草の上に敷いて僕をそこに押し倒した。後頭部は長の大きな手に守られ、身体を折り曲げられるようにして僕自身を咥えられてしまう。
「あぁっ、旦那さまっ、旦那、さまぁあっ……!」
大きな口で一気に根元まで咥えられ、ぐちゅぐちゅと舐めしゃぶられた。それで僕はすぐにイカされてしまったのだった。
「あぁああーーーっっ!」
身体ががくがくと震える。長は精液をゴクリと飲むと、萎えた僕自身をその後もくちゅくちゅとしゃぶった。
「あぁんっ、イッた、のにぃっ……!」
がくがくがくがくっと腰が震える。イッたばかりのちんちんをいじられたらおかしくなってしまいそうだった。
「旦那さまぁ……旦那さま……」
優しく舐められて、長が顔を離した時には涙がこぼれていた。長は一瞬困ったような顔をした。
「また泣いちまったのか」
「ごめんなさい……」
「謝るなって言ってんだろ? 気持ちよかったよな?」
「はい……気持ち、よかったです……」
恥ずかしかったけど、僕は答えた。それに長がうっと詰まったような顔をする。
「……ヤりてえ……とっとと帰るか……」
抱き上げられてズボンを履かされた。そして僕を抱いて立ち上がった長に、僕は首を傾げた。
「旦那さま、お土産は……」
「ああ……」
長は今思い出したというように、声を発した。
「しょうがねーな。なんか獲って帰るか……」
長は僕を抱いたまま川に近づく。そして、
「目を閉じてじっとしてろ。絶対に目を開けるなよ」
と言った。僕は言われた通りにした。すると途端にばしゃんっ! と大きな水音がして、キシャアアアアッッ!! という怖い声が聞こえていた。
「おらよっ!」
僕を抱いたまま長が動く。なんだか跳んだり跳ねたりしているような激しい動きだ。僕は長から落ちないように必死に長にしがみついた。そしてそれが三回ぐらい続いてから、長はどこかへ向かって歩き出した。
「もういいぞ。目を開けろ」
長は立ち止まってそう声をかけてくれた。おそるおそる目を開ける。長の逞しい胸板が目に飛び込んできて、僕は思わず長に顔を摺り寄せた。
「……ったく、かわいいことしてんじゃねーよ……」
なんだか生臭い匂いがして、僕は匂いの素を探そうとやっと辺りを見回したら……。
「ええ?」
何故か周りに大きな魚が三匹倒れていた。僕は目を丸くした。
これ、長が獲ったのかな。どうやって獲ったんだろう?
「これって……」
「ああ、この川は魚の魔物が豊富でな」
川に何かが近づくと飛び出してきて襲ってくる魔物らしい。けっこう飛ぶのでそれを蹴って地面に落とし、ここまで蹴り飛ばしたのだという。長のやることがあまりにも規格外で、開いた口が塞がらなかった。それを都合三回やったので、ここにでかい魚が三匹倒れているということらしかった。
「……すごいですね……」
「ヒモでくくって持ち帰ることになるから……帰りは少し時間がかかるぞ」
「かまいせん。旦那さまって、本当にすごいです……」
川の方を見ると魚がばしゃんっ! と跳ねて飛び上がっているのが見えた。口がとても大きくて、鋭い歯がたくさん並んでいる。あんな怖ろしい魔物を捕まえてしまうなんて、長は本当にすごい鬼だと思った。
長は手早く三匹を縛り上げると、背中にしょった。そして籠を持った僕を抱き上げ、また飛ぶような早さで来た道を戻っていった。
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