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50.ひたすらに翻弄されて

 ……甘すぎてまた死んじゃうかと思った。  涙が止まらなくて、びくびく震えながら泣き続けた。 「らめ、らめぇ……」  もうかすれた声しか出なくて、でも勘弁してほしくて。  長のイチモツを受け入れながら、アズに僕自身を舐められ、リンドルとカヤテに乳首を舐めしゃぶられた。あまりにも甘くなりすぎて頭がおかしくなってしまうのではないかと思った。 「あぁあああっ……!」  長の精をまた身体の奥で受け止める。気をやってしまっても、ずっと愛撫されているから甘さの中で目覚めさせられた。  それが何度もくり返されて、ぐずぐずに溶けてしまうそうだった。 「天使さまは悪い薬のようだ……。いつまでも触れていたくなる」  カヤテがうっとりしたように呟く。 「そうですね。おまんこだけ、というのは正解かもしれません」  リンドルが同意した。  でも僕はもう二人が何を言っているのかわからなかった。揺すぶられ続けて、僕の意識はいつのまにか真っ暗な闇に閉ざされた。 「……んっ……」  翌朝の目覚めは甘い口づけと共に訪れた。 「んっ、んっ……」  肉厚の長い舌に口腔内を舐められて、舌もべろべろと舐められる。そうして絡め取られ、きゅっきゅっと吸われた。口づけの甘さに首の後ろが痺れた。そっと首に腕を回す。  たぶん、だけどこの口づけのしかたは長だと思った。 「んんっ、あぁ……」  いっぱい舌を舐められて、やっと口づけが解かれた時には僕は震えていた。 「……目が覚めたか」  やっぱり長だった。嬉しくて笑んだ。 「だ、んな、さまぁ……」  声がかすれている。少し咳き込んだ。昨日いっぱい声を出したからかもしれない。 「長殿、失礼します」  リンドルが近寄ってきて、素早く僕の喉に触れて治してくれた。 「あり、がとう……」  リンドルは頭を下げるとすぐに部屋の隅に戻った。その動きがあまりにも自然で、僕は目を丸くした。 「あー……昨夜は、悪かったな……」  長が僕を抱きしめたまま、困ったような顔をしていた。なんのことだろう? 「旦那さま……?」 「おまんこだけじゃなくて、ちんちんも、おっぱいもずっといじっただろ……? 大丈夫か?」  昨夜の己の痴態を思い出して、顔がカーッと熱くなった。いっぱい舐めたりしゃぶったりされて、尻穴にずっと長のを受け入れさせられてしまった。長のは本当に中をいっぱいに満たしてくれるからたいへんだったけど、長に抱かれるのは大好きだから幸せで……。 「だ、だいじょうぶ、です……」 「……そうか。なら……」  その後で言われたことに、僕はどんな顔をしたらいいのかわからなかった。  いろいろ鬼がたいへんなのはわかるのだけど、言うことが二転三転するのはどうなのだろう。  まずは長が僕を独占しているのはずるいという話から、尻穴だけならと後ろを向いて他の鬼のイチモツを受け入れた。でもそれは長が耐えられなかったらしくて、長が僕を抱いているところを見せるのはいいという話になったはずだった。  でも長に抱かれている僕を見て、天使に触れたいという鬼が増えたらしい。だけど「小屋」にいる天使は管理する鬼がいて、尻穴にイチモツを入れる以外は禁止されている。天使を生かす為らしい。  だから、抱かなくてもいいから愛撫したいという要望が出てきたという。  長が決めたことなら従うけど、できることなら長だけに抱かれていたいと思う。それは僕のわがままなのかもしれないけど。 「旦那さまは……僕に他の方に触れさせろとおっしゃるんですね……」 「……そんな顔をするな」  そんな顔ってどんな顔だろう。へんな顔はしていないと思うけど。 「長殿」 「なんだ?」 「村からなのですが、三か月後ならば新しい天使を送ることは可能だという連絡がありました」  リンドルが長に伝える。  三か月って……。 「リ、リンドル、それはっ……」 「天使候補として育てられているのでしょう? もちろん本人が拒むのであればその限りではありませんが、そうでなければこちらから要請はできるはずです」  でもジュンはあんなに嫌がっているのに、って思った。 「だったら……僕は他の方に触れられるのはかまいませんから……」  そう言ったのに、何故か長の目が怒っているように見えた。 「旦那さま……?」  怖いけど、離れたくはない。そんな怖い目をしてほしくなくて、僕は長の頬にそっと触れた。その手を長が握る。 「っっ!?」  痛い、なんてものじゃなかった。どうしてそんなに強く握られるのかわからない。手が悲鳴を上げている。 「……その天使候補とやらがお前のおっぱいを吸ったのか?」 「……?」  何を言われているのかわからなかった。胸を吸ったってなんの話だろう? それよりもすごく痛いから手を放してほしかった。 「ソイツがお前のおっぱいを吸ったなら、八つ裂きにしてやるっ!」 「っ? ち、ちがっ……」  それからのことはまるで、嵐のようだった。

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