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87.長が好きだけど、煽るなって言われる
「おまんこを犯したくてたまらねえが……」
長が困ったように呟く。そういえばそろそろ昼ご飯のようだった。
長ははーっと息を吐いた。
「キレイにしろ」
「はい」
リンドルが長から僕を受け取り、洗浄魔法をかけてくれた。
「……ありがと」
今さっきまでめちゃくちゃにされていたから素直にお礼が言えない。リンドルもそれをわかっているようで、軽くぎゅっと僕を抱きしめた。
「ウイ様、申し訳ありませんでした。次からは気を付けますので」
「……うん」
次があるのというのがなんか恥ずかしい。頬がまた熱くなった。
そうしている間に昼食が並べられ、僕はシーツでくるまれて長に渡された。長が好きだから長の膝の上に納まるようにされるのがとても嬉しい。
一緒にお昼ご飯を食べ、片付けてもらってからお茶を飲む。
長のイチモツを受け入れると、奥の窄まりを貫通して更に奥まで可愛がられてしまうから食休みは重要だった。食べ終えてすぐにされてしまうと吐いてしまうかもしれないという気遣いである。
もちろん鬼を敵として攻めてくる者たちに鬼は容赦しない。川向こうの土地からは時折鬼を退治しようと来る者たちがいるらしい。鬼と敵対して生きていた者は性処理道具にされ、散々に犯されて死ぬことになる。それをカヤテに当たり前のように聞かされて震え上がったことは記憶に新しい。
だから僕はとても大事にされていると思うし、僕を抱きしめてくれる長が大好きだ。
さりげなくおなかに回されている太い腕をぎゅっと抱きしめる。
「ウイ、かわいいことするな」
「旦那さまが好きなだけなのに?」
「……煽るなっつってんだろ」
長がはーっと息を吐く。長を困らせたいわけではないから、どうしたらいいのかわからなくて僕も困ってしまう。
「はー……どうして甘い物を全く食べていないのにこんなに甘いのでしょうか……。いえ、甘い物なら飲みましたね。天使さまのおっぱいとおちんちんの蜜と愛液を……ぐぁっ!?」
「黙れ」
スコーン! と派手な音がして、座っていたはずのカヤテが後ろに倒れた。長が何か投げたらしい。僕は目を丸くした。
数瞬後、カヤテが顎を擦りながら身体を起こした。
「長様、食器を投げてはいけません。壊れてしまうではありませんか」
「てめえがあほなことを言うからだ」
「私は事実しか伝えておりませんが」
涼しい顔でそんなことを言うカヤテに僕は呆れた。
「旦那さま、少しいいですか?」
長に許可を取る。
「ん? どうした?」
「あのぅ……もう一人天使を連れてこさせるとお聞きしたのですけれども……」
「ああ……まだ天使じゃあないんだろ?」
「そう、ですね……」
まだかつての村の仲間は30歳の誕生日を迎えてはいない。だから彼は「天使」ではない。
ジュンは本当に天使になることを望んでいるのだろうか。それだけが不安といえば不安だった。
それに。
「あの……旦那さまは相手をしないとはお聞きしましたが、そうしたら……」
「はい! 私がいただきます!」
カヤテが手をバッと上げた。他の鬼たちが訝し気な顔をする。
「カヤテ様、それは……」
「カヤテ様、あんまりです!」
そして抗議の声を上げた。
「何が不満だと言うのですか。私は最初から天使さまを狙っていましたよ!」
それを公言するのはどうなんだろうと思ったけど鬼ならばあることなのだろうか。スコーン! とまた派手な音がして、座っていたカヤテが再び後ろに倒れた。僕は長を窺った。
「旦那さま?」
「ウイは俺のだ」
ぎゅっと抱きしめられてとても嬉しいと思った。
「そのあほぅは川にでも捨ててこい」
「はい!」
「了解です!」
「ちょっ、いくらなんでもそれはっ!」
身体を起こしたカヤテを他の鬼たちが寄ってたかって縛り上げ、担ぎ上げて部屋を出て行った。さすがにちょっと心配する。
「あの……カヤテは大丈夫なんですか?」
「ああ、頭さえ齧られなきゃどうにかなるだろ」
それって川の魔物にって意味だよね。僕にとってそんなにいい鬼とはいえないけど、無事に戻ってきてくれることを祈った。
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