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一握りの噂
「遊馬 先輩ってさ、常に彼女尽きないよね」
「あの見た目だしね、無理もないわ」
「遊馬 くんになら遊ばれても良くない?」
わかるー!と盛り上がるサークルの女子達の
ピンク色の声が否が応でも耳に届く
「また言われてますね、先輩」
クククっと笑いながら
「まぁ無理もないすね」と煙草をふかす白兎
「お前さ、一応俺先輩なんだけど」
「だから慕ってるじゃないですか、先輩」
ふー、っと反対側に煙を吐き出し
ニコッと笑いかけてくる
語尾に悪意マシマシでわざとらしくつけてくる『先輩』はどうにかならないものなのか
こいつの方が八方美人な分、俺よりよっぽどタチが悪いと思う
「あれ、今日は吸わないんですか?」
トントンっと今時の大学生、無論ハタチのガキには珍しい紙煙草を指で弾きながら勧めてくる
「禁煙中」
「どんな風の吹き回し?」
差し出した手を下ろさずいる白兎に
「なんでもいいだろ」と返すと
「やっぱり成人 くんここにいた〜!」と良いのか悪いのか絶妙なタイミングで
留里 が少し息を切らしながら現れた
「あぁ白兎ごめん、俺行くわ」
「この人が新しい彼女さんですか?」
そうだよと返すと、少し広角を上げてふぅんとタバコの火を丁寧に消してから「初めまして、遊馬くんに可愛がられてる後輩です」と留里の顔を覗き込んだ
「あ、はじめまして。後輩ってことは私と同じ歳?」
「そ、こいつ白兎。留里と同じ二年だな」
「へぇ、彼女さん年下だったんですね」と、もの珍しそうに言ったかと思えば、
じゃっ、お幸せに〜とヒラヒラ手を振りながら去っていった
少し呆気に取られた留里を見て
「変なやつだろ、ごめんな」と呟くと、
いいのいいの帰ろ!と無邪気な笑顔で手を引く
「あ、そういえばタバコ吸ってなかったね!」
「吸ってほしくないんでしょ?約束は守ってるよ」
「さすが成人くん!」
「なるほどね、だから禁煙って訳か」
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