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第4話

 今は依頼先の家で吸えないことが多いので大体このタイミングで全員煙草を吸う。車の窓をわずかに開け、外に紫煙を吹き流す。  T家に到着した。事前に表門ではなく裏門から入るように指示されていたので裏門から入ると、使用人と思しき男性に案内され、車を駐める。俺たちのような稼業では、表口からでなく勝手口からとか今回のように裏門から入ってくれと言うのは極めてよくあることだ。特にこのような田舎町では近所の視線を気にする傾向がある。まあ誰も自分たちの家に怪異が起きているとは知られたくないのだろう。T家は由緒ある家柄らしく、石垣に囲まれた大きい土地の中に母家と離れがある作りだ。俺たちは必要な道具を出すと早速母家へ向かう。 「よう起こしになってくださいました、こちらへどうぞ」  出迎えたのは五十代に見える夫人だ。だが相当やつれているので実際の年齢は四十代半ば程だろう。すっかり参ってしまっているらしい。  広い母家の中はしん、としていたが沢山の人が働いている気配がする。物忌ではないけれど家全体が自粛ムードなのは間違いない。

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