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第9話

「憑き物筋といえば、狐や長縄、いわゆる蛇などが有名で数も多いですが、私どもが代々受け継いでいる書物にT家について記載があり『憑キ物筋ノ中デモ極稀ナル怪猫憑キノ家系ニシテ、精神薄弱ノ者多シ。特ニ女ハ激シク障ガ出ルコトアリ』とありました」  怪猫憑きについてはこの家系しか記載がなかったので唯一の家系と言ってもいいだろう。婚姻によりこの家から出た者には怪猫はついてこないらしいとも記載してあった。つまりこの怪猫はT家にいる男女にしかついていかないのだろう。したがって本家のみに怪猫が憑いていると言うことになる。これは憑き物筋の中でも稀有な例で、通常は婚姻によって家から出た男女にも憑き物はついてまわる。 「そういえば祖父から猫には気をつけろとかなんとか言われたような気がします。その祖父も精神を病んでしまいましたが……関係あるんでしょうか」 「おそらくあると思います。昔は怪猫について色々と気をつけていたんでしょうが、近年になってそういう知識の伝承が途絶えたんでしょう」

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