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第76話
しかしマンションに帰ると家の前に不審な段ボールが置かれていた。それに何やら血生臭さと腐臭がする。一応このマンションはオートロックなので部外者は入れない筈なのだが……。恐る恐る中身を確認すると子猫のバラバラ死体だった。叫ぶほどではないが気分の良いものでもない。
俺はマンションの管理会社と警察に連絡した。数分後、管理人とともに警察官が到着すると事情を聞かれた。このマンションはオートロックだからマンションの住人がやった可能性が高いためである。しかしマンション出入り口のカメラを確認すると、マンションの住人と思しき男性の後に帽子を被った人物がするりとマンションに入ってきており、マンション内のカメラの映像からもこの帽子の人物が俺の部屋の前に段ボールを置いていっていることから、この帽子の人物が犯人だと推定された。
「榊さん、この人物に見覚えはありますか?」
と警察官に聞かれる。確かに俺に憑いていた生き霊と雰囲気は似ているのだが、そんなことを言っても信用してもらえそうにないので、
「いや、見覚えありません。歳は近いようですが友人にこう言った人はいません」
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