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第79話
心配する九条を降ろし、俺は車を事務所に置いて帰宅した。帰り道いつものコンビニもでインスタント食品と飲み物を買う。すると店員が「商品の値段を確認して参りますので少々お待ちください」と飲み物を片手に消えた。しばらくすると戻ってきて値段を打ち込み、会計した。
家に帰る道すがら、喉が乾いたのでさっき買ったペットボトルのお茶を飲む。……このお茶古くなってるんじゃないか……?味が変……と思って吐き捨てた。しかし段々足元がおぼつかなくなり、次の瞬間気絶していた。
目覚めたのは古いアパートの一室だった。片付いてはいるが生活感のある部屋だ。監禁専用の部屋でなくてよかった。見回すと生き霊と同じ顔をした青白い男が俺を見ていた。その眼差しは悦びに満ち溢れている。俺の方はというと手首を後でに縄で縛られ、右足は同じ縄でこの家の柱と繋がれていた。
「おはよう、意外と目ざめるのが早かったね」
それはあのお茶を飲まずに吐き捨てたからだろう。お茶を全部飲んでいたらどうなっていたことか考えただけで恐ろしい。
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