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第80話

 まさかよく行くコンビニの店員が生き霊の正体だったなんて。普通に生活していたらコンビニの店員の顔は頭に入らない。でも警戒すべきはそこだったのだ。  窓はカーテンがかかっており、居場所の特定は困難そうだ。時刻は時計を見ると深夜四時半を回ったところだ。四時間近く意識を失っていたらしい。腕に違和感を覚えて見てみると注射痕があった。何を打たれたのだろう?心なしか動悸がする。 「あぁ、注射は一種の興奮剤だよ、これから楽しく過ごすためのね」 「お前がストーカーか……!」 「ストーカーなんだろうか?僕は貴方の美しさに心を奪われ、アプローチをし、少し強引な手段に出ただけなんだけれど。  でも精神を飛ばす修行は足りなかったかな。簡単に追い出されちゃったからね」  驚いたことに意識的に生き霊を飛ばしていたらしい。修行でそれを会得できるのであればもっと違う道もあったろうに。  よくよく調べると部屋に極々弱いが結界のようなものが張ってあった。独学でできているのであれば大したものだ……などと感心している場合ではない。

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