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第100話
そうして翌朝七時に大阪・梅田へ到着した。まずは彼女の自宅であるT区へ向かう。現地の警察にも同行してもらい、西川 雪菜の自宅へ来た。
呼び鈴を数回押すが中からは何の気配もしない。警察からマンションの管理人に頼んで鍵を開けてもらい、中へ入った。同時に九条が探査の呪で西川 雪菜の行方を探すが、呪術を扱える相手だと呪は妨害されるだろう。
部屋の中は荒れており、ゴミは散乱しこの時期なのにハエがたかっていた。何より目につくのは壁に貼られた写真だ。何枚もの家族写真が貼られており、妻と娘と思しき人物に油性ペンでバツ印が書かれている。その他にも呪や殺など不穏な単語が書かれているものもある。コトリバコの気配は全くしない。おそらく彼女はコトリバコを手にしてから一度も帰宅していないのだろう。
悍ましい光景だが、これで目的ははっきりした。
「……おそらくこの写真の男性に西川 雪菜は想いを寄せていて、その妻と娘を例の箱の呪力で殺すつもりなんだろうな」
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