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第102話

 さらに詳しく調べてみる。相手の情報は多ければ多いほどよい。さらに部屋の片隅に解錠師について調べた痕跡があった。……俺達は警察とも繋がっているのでよっぽどのことがない限り鍵開けに困ることはないのだが、警察との繋がりが薄い祓い屋はしばしば解錠師に仕事を依頼することがあると聞いたことがある。おそらく彼女は実家のネットワークを使い佐藤に解錠を依頼したのだろう。  しかし、実家が祓い屋である程度情報や技術があるにしても、解錠師まで手配して「コトリバコ」を使って呪いたいほど相手を憎むなんて、余程の事情があるか、過剰な妄想に取り憑かれているかのどちらかだろう。  従って西川 雪菜に遭遇したら細心の注意を払う必要がある。これまで作られたコトリバコは全て開封しないまま呪力を逓減させ、そこで初めて神社で処分していたという。もし乱心した彼女がコトリバコを壊したりしたら、どのような影響があるか未知数だ。   そこまで考えていると、九条が、 「見つけた。ここからそう遠くねえ」  と言いながらタブレットで地図を表示した。 「ここが今いるとこ、男はN区の会社にいるらしい。嫁と子供は同じT区のここだ」

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