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第22話

 一ヶ月後のある日、ルイがアンドレイの部屋にやってきた。 ルイは神妙な顔をしている。 「どうした?」 「はい。軍事担当の部署で、使途不明金が見つかったそうです」 「何だって?」  アンドレイは目を見開いた。 「親衛隊にいる知人から聞きました。多額の金が消えたとか」  親衛隊とは、王を護るために組織された部隊であり、軍部とも関係がある。 「一体何があったというのだ。もう原因などは探っているのか?」 「現在は、混乱しているそうです」 「そうか……」  暫く悩んだアンドレイは、立ち上がった。 「王様のところへ行ってくる」 「えっ、王子様?」  焦るルイを置いて、部屋を出た。 「王様、軍事費で使途不明金が出たとか」  アンドレイは父王に謁見すると、直ぐに切り出した。 「さよう。お前の耳にも入ったか」 「はい。驚きのあまり、やってまいりました」 「困ったものだ……」  父王は、机に両肘を付き頭を抱えてしまった。 「父上…今の軍事部はリカルド師匠が長を担っているのですね」  アンドレイの教育を仰せつかっていたリカルドは、後に軍事部に移り長官を努めている。 そのことを、アンドレイは思い出したためここへやってきた。 「あぁ、そうだ」 「師匠の統べる部署で起きたことです。私も気になったのです」 「うむ……それで、どうした。様子でも聞きにまいったのか。まだ何も分かっておらんのだ」 「さようですか。でしたら、私に調査をお任せ願えませんか」 「お前が調査だと?お前は軍事部のことは分からんだろう」 「確かに、私は軍事部と関りがありませんが、真相を究明したいのです」 「だがな……大丈夫なのか?」  父王は不安そうだった。アンドレイに、できるわけないと思っているようにも見える。 「王様、何卒私にお任せください。やり遂げてみせます」  アンドレイは熱意を持ち訴えた。 「そうか。そこまで言うならやってみよ」 「ありがとうございます、王様。調査に力を尽くします」 「うむ。何かあったら私に言うが良い」 「はい。恐れ入ります」  自室に戻ったアンドレイは、早速ルイにリカルドを呼ばせた。

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