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第21話
「ルイにございます」
アンドレイが自室の机に伏してあれこれと考えていると、ドアがノックされた。
「入れ」
アンドレイはおもむろに顔を上げる。
「王様のお話は、どの様なものだったのですか?」
「あぁ……。私を、正式な世継ぎとして決定すると仰せだ」
「え、急ですね、王様には何かあったのでしょうか」
「直ぐに譲位をするなどという話ではないからな。父上の心の臟に、病が見つかったそうだ」
そう告げると、ルイは驚きに目を見開いた。
「お、王様が!?」
「まだ誰にも言うでないぞ。明日、重臣たちを集めて話すと言っておられたからな」
「承知いたしました、王子様」
「しかし……まだお若いのに……なぜ王様は病に……」
アンドレイは頭を抱えた。父王はまだ働き盛りの年齢だ。
病になるなど、考えてもいなかった。
それでも、病はいつなるか分からないものだ。ある日突然襲ってくることもある。
父王は、息苦しさを感じたことで主治医に診てもらったらしい。
幸い症状もまだ軽く、初期だったという。
「王様は、ご苦労も多いのでしょう。大丈夫。きっと良くなります」
「そうだな。まだまだお元気で玉座にお座りいただかねば」
「はい、王子様」
翌日、臨時で会議が開かれアンドレイを世継ぎとする旨が重臣たちを前に発表された。
重臣たちは以前から、アンドレイが継ぐことになるだろうと考えていたので、さして反対もなく承認された。
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