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第24話

自室に戻ったアンドレイは、早速ルイにリカルドを呼ばせた。 「王子様、お久しぶりでございます」 「あぁ。師匠も息災でしたか」 「老体にむち打ち頑張っておりますよ」 「まだまだお元気ではないですか。現在は軍事部でらつ腕を振るわれているとか」 「恐縮でございます。王様のご期待に添えるよう、日々奮闘している最中でございますよ」  リカルドは自重気味に薄く笑った。 「何でも、軍事部で使途不明金が見つかったとか。由々しき事態ですね」  なにげなくアンドレイが言うと、リカルドは一瞬目を見開いた。 「王子様……なぜそれを?」 「風の噂に聞いたのです。騒動になっているのでは?」 「は、はぁ……さようにございます。部署内は捜査に着手いたしました」 「そうですか。実は、王様より本件の捜査を仰せつかっております」 「お、王子様がですか?」 「はい。師匠がいる部署のことですし、私も真相を究明したいのです」 「しかし……」  リカルドは大いに戸惑ったようだ。王子自ら調査を申し出たことを意外に思っているのだろうか。 「軍事部の邪魔はいたしません。師匠たちも調査をしていただければと思います」 「はぁ……」  リカルドは訝しげな顔を見せた。 「本件が早急に解決するよう、私も軍事部と協力し合いながら調査をしていくつもりです」 「ありがとうございます。王子様にその様に言っていただけるとは、何とも心強い限りでございます」  そう言ってリカルドは頭を下げた。その所作からは、アンドレイへの敬意などがうかがえた。  アンドレイは、その翌日から調査を開始するためルイを呼んだ。 「使途不明金だが、何かに使われているはずだ。きっと、証拠もどこかにある」 「そうですね。多分、分からないように誰かが使ったと思われるので、突き止めてみせます」 「あぁ。頼むぞ」  ルイと共に調査をしていくと、軍事部にあった金は国防費に使う名目で貯めてあったものだったことが分かった。  そして、そのままごっそりとある日になくなったという。  探索をすると、何者かによって国の兵器を揃えるとしてどこかへ移した書類が見付かった。 しかしその書類は、改ざんされており真実は掴めない。

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