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第25話

アンドレイが直々に軍事部のある建物を訪れ、関係者に聞き込むことにした。 「ここ数年の、軍事部の経費の帳簿を見せてくれぬか」 「はっ、かしこまりました」  リカルドの部下が頭を下げると、足早に帳簿が納まる倉庫に向かった。 「これが、例の資金か」  部下に持ってきてもらった帳簿に記載された、記録を指してアンドレイが呟いた。  一月ほど前に、一千万もの金が使われている。 しかし、何に使ったのかが消されていて、不明になっていた。 『かなりの大金だな……』  アンドレイは頭を抱えた。一体、金はどこに消えたのだ。  日を改めてルイに探らせると、武器を購入するという話を聞いた者がいたことが分かった。 「武器だと?」  自室でルイからの報告を聞き、アンドレイは驚愕した。 「はい。武器を大量に購入すると聞いたそうです。その者も、誰からの指示なのか知らないとのことでした」 「武器をそんなに購入してどうするというのだ。一体誰が……」 「残りの金は、兵力の増強に使うとか。指示した人物などについては、引き続き調査いたします」 「あぁ、頼むぞ」 「では、失礼します」  礼をしてルイが部屋を辞去しようとすると、アンドレイが呼び止めた。 「ルイ!」  ルイは立ち止まり振り返る。 「王子様……どうされましたか?」 「いつも、ありがとう」  アンドレイが顔を赤くしながら通常なら言わないようなことを言うと、ルイは呆気にとられたようだった。一瞬ポカンとした顔を見せた。 「滅相もございません。私は役目を果たしているだけでございます。王子様のお傍にいたいので」  そう言われると、ますますアンドレイの顔は赤みを増してしまう。 「バ、バカ。さっさと行け」  ぶっきらぼうに告げると、ルイは「はい」とだけ言って部屋を出ていった。  あんなことを言われては、心臓がうるさく鳴るではないか。お傍にいたいからなど、可笑しなことは言わないで欲しい。

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